コンロ周り、楽に手入れ 時間と温度で汚れ浮かす

毎日使う場所だけに目につきやすく、蓄積しがちなコンロ周りの油汚れ。身近にあるものを使って掃除をするテクニックを専門家に聞いた。
「気温が低い冬場は、油汚れが固まって落としにくくなる。放っておくと蓄積した汚れが焼きついて厄介なので、早めの対処が必要」と話すのは、東急ハンズ新宿店4階「ピカピカ☆ラク家事商店」店主の松本忠久さん。松本さんが日々のコンロ掃除に勧めるのは、ホームセンターや100円ショップなどで手に入るアルカリ電解水だ。水を電気分解したアルカリ性の水溶液で、油汚れを除去し、たんぱく質を分解する力がある。
使い方は、コンロの汚れに直接吹きかけてしばらく浸透させた後、拭き取るだけ。洗浄力を上げたい場合は、40度くらいに温めて使うと、さらに汚れが落としやすくなる。「汚れが浮いてはがれやすくなるので、ゴシゴシこする必要がない。洗剤と違って二度拭きが不要な点も扱いやすく、時短になる」と松本さん。
こびりついてしまった汚れには少し手間をかけたい。「おそうじ本舗」を手がけるHITOWAライフパートナー(東京・港)グループ、くらしスタイル研究所の尾崎真所長に、大掃除にも使えるコンロ掃除のテクニックを教えてもらった。
使用するのは、アルカリ電解水と食品用ラップ、ドライヤー。まずは五徳などを全て外し、コンロの天板全体にアルカリ電解水を吹きかける。その上から全面にラップを貼り付ける。「ラップをすることで、電解水が乾くのを防ぎ、汚れに浸透しやすくする」(尾崎さん)。このまま20~30分放置することで、油汚れを浮かせることができる。
さらに汚れがひどい部分に有効なのがドライヤーだ。ラップの上から温風を当てることで、油汚れが軟らかくなり、電解水の洗浄力も増す。放置する時間がない場合にも時短技として使える。続いて、はがしたラップを丸めたもので汚れをこすり取り、最後にタオルなどでから拭きする。
IHコンロの場合は、丸めたアルミホイルを使うと焦げ付きなどの汚れが落としやすい。IHは水分が残ったまま使うと焦げ付きができやすいので、しっかりとから拭きするのもポイントだ。
電解水とラップを使う方法は、コンロ周りの壁などの掃除にも有効だ。ここで注意したいのが洗剤の塗布方法。尾崎さんは「壁などの垂直な部分に洗剤を使う場合は、液だれの跡が残らないように、下から上に向かって吹き付けるのがポイント」と注意を促す。スポンジに洗剤を含ませて下から上に塗っていくのもお勧めだ。

コンロ掃除でさらにおっくうなのが、五徳の手入れ。尾崎さんは、重曹を使ったつけ置きを勧める。「重曹は油汚れに強く、電解水に比べて安価なので、大量に使うつけ置きにも使いやすい」(尾崎さん)。用意するのは、五徳が入るサイズのジッパー付き保存袋。複数の五徳が一体化した大きなタイプの場合は、サイズに合ったゴミ袋を二重にしたもので代用できる。
まず、袋に五徳を入れ、50度くらいの湯を五徳がつかる程度まで注ぐ。キッチンのシンクを使う場合は、五徳でシンクを傷つけないようにタオルなどを敷いておくとよい。
次に、袋の中に重曹を入れ、溶かす。濃度の目安は、100ミリリットルの湯に対して重曹小さじ1程度。重曹は熱が加わることで反応が良くなるので、熱めの湯を使用する。
袋の空気を抜きながら口を閉じ、そのまま10~15分間つけ置きする。時間がたったら五徳を取り出して、スポンジなどで汚れをこすり落とす。細かい部分の汚れ落としには、不要になったポイントカードなどプラスチック製のカードが使える。半分に切ると、断面が鋭利になるので、汚れを削り落とす。
最後に洗った五徳を水で流し、タオルなどで水気を取って乾かせば完成。この方法は、バーナーキャップや魚焼きグリルにも応用できる。
「油汚れの掃除のポイントは、時間と温度」と尾崎さん。時間をかけて洗剤を浸透させ、熱の力で洗剤の洗浄力を上げることで汚れが落としやすくなり、結果として掃除が楽になる。キッチンのベタベタした油汚れはストレスのもとにもなる。少しの手間で快適なキッチンを保ちたい。
◇ ◇ ◇
便利グッズを活用して

コンロ掃除を楽にするグッズが進化している。東急ハンズの松本さんが薦めるのは、油汚れ専用のボアクロスだ。「油汚れを落としやすく、クロスに付いた汚れは水だけできれいに落とせるので、掃除がおっくうにならない」(松本さん)
汚れ防止商品も、天板を丸ごと覆うものに加え、ビルトインタイプのフチの隙間や、ゴム管など掃除しにくい部分を覆うカバーも登場している。コンロはほぼ毎日使う場所。グッズなどをうまく利用して、手入れが苦にならない環境をつくろう。
(ライター 李 香)
[NIKKEI プラス1 2021年12月25日付]
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