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インド トマト急騰、1カ月で7割高く

NIKKEI STYLE

インドでトマトの価格上昇が目立っている。直近1年で2.68倍の水準にまで上がった。記録的な熱波による収穫量の減少などが原因とみられている。インドの食卓に欠かせないトマト価格の高騰は、国民生活を直撃している。

インド政府によると、トマトの全国平均価格は5月末時点で1キログラムあたり53.75ルピー(約90円)だった。4月末から7割近く増え、前年同月末比では168%増となっていた。ジャガイモ(前年同月末比26.3%増)など、ほかの野菜と比べても突出した値動きだ。西部マハラシュトラ州のムンバイでは75ルピーを記録し、100ルピー近い価格で販売しているスーパーもあった。

トマト価格の急上昇の原因として、地元メディアは異常気象を挙げている。インドでは3月から各地で熱波に見舞われ供給が滞ったほか、過去の価格減少の経験から農家がもともとトマトの作付けを減らしていた点も響いたという。一部地域におけるサイクロンなどの被害の影響を指摘する見方もある。

トマトに限らずインド政府はインフレ対応に追われている。5月の消費者物価指数(CPI)上昇率の速報値は前年同月比7.04%で、インド準備銀行(中銀)が目標の上限と定める6%を上回り続けている。野菜に限ると18%以上も上昇していた。

物価上昇に対応するため、インド中銀は6月8日に利上げを実施。政策金利を4.4%から4.9%に上げた。5月も利上げしており、インド中銀のダス総裁は5月のオンライン演説で「食料品の価格上昇圧力は続く」との認識を示した。

インド政府は5月には小麦の輸出禁止にも踏み切った。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で小麦価格が世界的に上がるなか、国内供給を優先した。なりふり構わぬ措置には、食料価格を巡る対応が政権の命運を揺るがしかねないとの思惑もすける。

米調査会社モーニング・コンサルトによると、モディ首相の支持率は直近も70%台後半で推移している。他国と比べ安定ぶりが目立つが、物価高への対応には今後も苦慮しそうだ。

(ムンバイ=花田亮輔)

[日経MJ 2022年6月20日付]

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