急な雨、服や靴ぬれたら… 放置は変色・においの元に
外出先での急な大雨には困ってしまう。身に着けている服や靴、カバンがぬれて帰宅後に一苦労。干しておいた洗濯物があれば途方に暮れる。どう対処したらいいか考えてみた。
まずは身に着けたまま雨にぬれてしまった衣類だ。着続けていれば健康を害しかねないので、帰宅したらもちろん速やかに脱ぐ。できればすぐに洗濯したいところだ。
ただ自宅では簡単には洗えない上着などもあるだろう。形崩れしないようにハンガーに掛け、乾いたタオルなどを使って表面の水分をしっかりと拭き取る。その後にエアサーキュレーターなどで風を当てるなどして乾かす。
雨水には大気中に漂う化学物質などが含まれており、衣類にも色あせや変色といった影響を及ぼす可能性がある。家庭ではすぐ洗えなかったとしても、乾いた頃合いをみてドライクリーニングに出すなどしたい。

靴がぬれるのも厄介だ。もともと内側は履く人の汗や分泌物で湿っているが、これに加えて外側からも水分が入ってきて、表面に跳ね上がった泥砂が付着することになる。通常以上に雑菌が繁殖しやすい状態といえる。
帰宅後の処置としてはまず表面の水分や汚れを拭っておこう。さらに靴の傷みを最小限に抑え、不快なにおいも防ぐため、短時間のうちに湿気を取り除くことを考える。
よく知られていて、簡単にできるのは丸めた新聞紙を使う方法だ。新聞のインクが靴に移るのを防ぐため、キッチンペーパーで覆って靴の中に詰め込む。できれば2~3時間ごとに交換していく。
キッチンペーパーだけ、またはティッシュペーパーを詰めても大丈夫だ。ただし水分で溶けてボロボロになってしまうトイレットペーパーを使うことはできない。
他にも靴用の乾燥剤(シリカゲル)が販売されており、活用する手がある。
ある程度乾いてきたら、色落ちしない素材かなどを確認したうえで、靴の内部に消毒用エタノールのスプレーを吹きかけておくと、雑菌繁殖・においの予防になる。
もちろん洗えるスニーカーなどの場合、ぬれたらすぐ洗ってしまってよい。

靴ほどではないが、湿気がこもりやすいのがカバンだ。ぬれた部分は乾いたタオルでたたくようにして水分を拭き取る。その後、除湿機やエアサーキュレーター、扇風機があれば、風を直接カバンの内側に当てて湿気を飛ばす。
カバンは丸ごと洗えないケースが多い。とりわけ色あせや変色が心配な革製品などはまず固く絞った布で表面を水拭きするとよい。洗濯可能なものでも、ぬれてからあまり時間をおかずに洗い、速やかに乾かすようにしよう。
お気に入りのカバンは購入時やクリーニング後といったタイミングで、はっ水スプレーをかけるなど急な雨への対策を事前にしておこう。
身に着けているものだけでなく、外に干していた洗濯物が雨でぬれても頭を抱えたくなる。大気中の微細なちりや化学物質の存在を考えると、ちょっとした雨ですぐ乾いてしまったとしても、洗い直すのが基本だ。
直接肌に触れる下着類などを優先して洗濯機に入れていこう。直接触れない上着、雨水を多く含んでしまった厚手のデニムなどは乾いたタオルで拭き取ったり、手でたたいたりして水分を少し抜いてから洗い直す。
雨でぬれたことによって雑菌が繁殖し、生乾きのいわゆる部屋干し臭が強くなるケースがある。そういうときは洗い直しの際、除菌・消臭を期待できる酸素系漂白剤などを洗剤とともに使うとよい。
干しておいた布団がぬれてしまったときは大変だ。雨の中で長く放置してしまうと、大量の水分で重みが増す。ベランダなどで干していたら落下の恐れがある。まずは落下などの危険がない安全な場所に速やかに移動させよう。
その後の対応としては薄手のもので雨ぬれがそれほどひどくなく、自宅やコインランドリーで対応できる場合は自前で洗濯する。ただ難しいケースも多い。水分がある程度抜けた時点で処分するか、コストはかけても専門業者に依頼して洗うかになる。
近年は天気予報精度が上がる一方、局地的に大雨が降るケースも目立つ。ぬれた後の対処法に注意したい。
◇ ◇ ◇
室内に吹き込んでいたら

窓が開いていて室内に雨が吹き込んでしまった経験はあるだろうか。床には染みができ、壁やカーテンにカビが生える恐れがある。大切なのは早めの対処。気付いたらすぐ水分を拭き取り、カーペットにはエアサーキュレーターなどで風を当てて乾燥させたい。
屋外から泥砂が入っていたら、水分を拭き取った後に逆性せっけん液(塩化ベンザルコニウム)でさらに拭いておくと、雑菌繁殖対策になる。カーペットや畳は晴れた日に改めて日に当てておきたい。カーテンは中性洗剤で洗い、脱水してレールにつって乾かそう。
(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)
[NIKKEI プラス1 2022年8月20日付]
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