出演者と観客の「媒介役」に 小森はるかが届ける日常
ドキュメンタリー映画新時代(4)
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「自らが発信者になるのではなく、私が出会えた人たちと作品を見る人の『媒介役』になりたい」。映像作家の小森はるかは、監督としての役割をこう語る。
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市に3年間暮らし、付き合いの生まれた人々の日常を撮ってきた。2016年の「息の跡」では、津波で流された種苗店を再建した男性が英語や中国語で被災の経験をつづって自費出版する姿を追う。「空に聞く」(18年)では、...

「フェイクニュース」という言葉がすっかりなじんだ今日の世界で、それでも真実を探求しようともがくドキュメンタリー映画の作り手たちがいる。大上段に振りかぶって「これが正義だ」「これが事実だ」と押しつけようとすれば、人は逃げていく。だから、あくまで個人的に「真実だと信じ得たもの」を撮って、画面を通じてみんなと共有できるか問いかけてみる。リアリティーとの新たな付き合い方を模索する監督たちの姿を追った。