家でだし巻き卵サンド レンジの繰り返し加熱でふわり

世代を問わず愛される卵サンド。ゆで卵をつぶしマヨネーズであえて使う定番に加え、近年は調理法や見た目にこだわる新顔が続々と生まれている。家で手軽にできる作り方を教わった。
卵サンドの中でも、近年人気が高まっているのが厚焼き卵やだし巻き卵をはさんだ和風タイプだ。卵焼きをパン粉で包んで油で揚げた「卵カツサンド」もある。
だし巻き卵のサンドイッチといえば、東京・麻布十番の老舗甘味処(どころ)「天のや」の「玉子サンド」のファンは多い。関西風のだしがきいたふわふわの卵焼きを、からしマヨネーズソースを塗った薄切りパンではさんで仕上げる。
YARN HOUSE(東京・新宿)が運営しているテークアウト専門店でも購入できる。代表の笠井順雄さんは「差し入れやお土産、特別なランチとして喜ばれている」と強調する。
こだわりのパンを提供する「俺のBakery 恵比寿」(同・渋谷)でも、サンドイッチで1番人気なのが和風だしの「厚焼きたまごサンドイッチ」だという。
家でだし巻き卵をふわりと厚く焼き上げ、パンにはさんでサンドイッチにしようと思うと大変そうだ。ただ料理研究家の寺西恵里子さんは「電子レンジをうまく使えば、ほとんど失敗することなく、手軽にできる」と話す。
寺西さんに作り方を教わった。まずは電子レンジ対応の四角い容器に卵を3個割り入れ、調味料を加えて卵液を作る。調味料はマヨネーズや顆粒(かりゅう)だし、砂糖を先に入れてよく混ぜる。牛乳や水は後にした方が混ぜやすい。
この卵液を数回に分けて加熱するのがコツだ。加熱中、卵液は容器の周縁部から徐々にかたまってくる。最初に1分半ほど加熱したところでレンジからいったん取り出し、周縁部から中央へと寄せるようにして混ぜる。
再びレンジに入れて1分半加熱し、様子をみる。それからは卵の表面がかたまるまで、20~30秒ずつ加熱する作業を繰り返す。
卵液がかたまったら、容器からアルミ箔またはラップの上に出す。「卵液に入れているマヨネーズの油分があるので取り出しやすい」と寺西さん。取り出した卵はパンの大きさに合わせて包みながら形を整えていく。粗熱がとれたらパンにはさむ。

厚みのある卵焼きサンドを作るためには卵を3個使いたいが、それでは卵のボリュームがありすぎると感じたら、2個にして調味料の分量を加減しよう。加熱してから混ぜることで、ふわふわの食感になる。ただし加熱しすぎると、卵がかたくなってしまうので注意が必要だ。
「ごく普通のゆで卵で作るサンドイッチでも様々なアレンジが楽しめる」。「卵とパンの組み立て方」著者でフードコーディネーターのナガタユイさんはこう語る。
重要なのは卵のゆで加減だという。ナガタさんにおすすめの作り方を解説してもらった。まずは卵の丸みの大きい方を調理台などにコツンと当てて、割れない程度にひびを入れておく。後で殻をむきやすくするためだ。
食パン4枚で卵サンドを2組作る場合、使う卵は3~4個が目安。小鍋に卵全体が浸るくらいの水(500~550ミリリットル程度)と一緒に入れる。タイマーを12分~12分30秒にセットして強火で加熱する。沸騰してきたら、そのまま1分ほどグラグラとさせてから弱火にする。タイマーが鳴ったら湯を捨て、卵はすぐ流水で冷やす。これで余熱が加わるのを防ぐ。
こうしてゆでると、黄身はかたまってはいるものの、中心部がやわらかく、鮮やかなオレンジ色の状態になるのだという。黄身はなめらかで、白身もかたくはなりすぎず、卵サラダにしたときにも舌触りよく仕上がる。
ゆで卵を包丁でざくざくと大きめに切ると、卵の存在感が感じられ、厚めの食パンによく合う。細かくつぶして使うと、なめらかな舌触りになり、薄い食パンとの相性がよい。卵にあえるマヨネーズの分量によっても食感は変わってくる。さらには調味料や他の食材をどう組み合わせるか。様々なアレンジを楽しめるだろう。
冷蔵庫に卵を常備している家庭は多いはずだ。ときには少し工夫して自分の好みに合わせた卵サンドを作ってみるのはどうだろう。
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ゆで卵使って アレンジレシピ

ナガタさんに卵サンドのお薦めアレンジを聞いた。
(1)基本のゆで卵サラダ 切ったゆで卵1個分(塩コショウで下味)にマヨネーズ小さじ2の割合であえる。
(2)ゆで卵とコーン ゆで卵サラダとホールコーンを2対1の割合で混ぜ、粗びき黒コショウを加える。
(3)ゆで卵とハーブ ゆで卵サラダのマヨネーズを半量に減らし、その分だけ代わりにサワークリームを追加。イタリアンパセリなどハーブ類を刻んで合わせる。
(4)煮卵 ゆで卵をだし、しょうゆ、みりんで煮て漬けこむ。つぶして煮汁とマヨネーズであえて具材に。
(ライター 土井 ゆう子)
[NIKKEI プラス1 2022年11月19日付]
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