コインランドリー賢く使う 設備進化「大物」洗い時短

夏に汗を吸った布団、秋の長雨でたまった家族の衣類。まとめて洗いたいときはコインランドリーが便利だ。設備やサービスが年々進化している。利用時の心得を専門家に聞いた。
コインランドリーというと、広い店内に大型の洗濯機や乾燥機がずらりと並ぶ光景を思い浮かべる人が多いのではないか。家事アドバイザーの矢野きくのさんは「家事にかける時間を減らすために活用する人が目立つ」と話す。機械の性能が進化し、洗える物も増えているという。
利用のメリットとしてまず挙げられるのが一度に洗える量、乾かせる量の多さだ。共働きで週末しか洗濯の時間がとれない、家族が多くて洗い物がたくさん出るといったケースで役に立つ。布団や毛布といった家ではなかなか難しい「大物」を洗いたいときにも活躍してくれる。
矢野さんは「子どもの靴下など小さいものが多い場合、コインランドリーでまとめて洗濯・乾燥させれば干す手間を省ける。布団も夏物なら家で洗えなくはないが、乾くまでの時間や手間を考えると、コインランドリーの方が効率はよい」と助言する。
店舗にはどのような機械が導入されているのか。業務用ランドリー機器メーカーのエレクトロラックス・プロフェッショナル・ジャパン(東京・港)の大久保敦さんによると、洗濯物を持ち上げて落とす「たたき洗い」が特徴のドラム式が多く、大容量化が進んでいる。
洗剤は機械から洗浄力の強い業務用が自動投入されるケースが多い。この場合、洗剤を持っていく必要はない。
乾燥機では回転させながら熱や風を当てて乾かしていく「タンブル乾燥」方式が主力だという。大久保さんは「短時間でふわっと仕上がるのが特徴だ。掛け布団などに付いた花粉やダニを落とすこともできる」と説明する。
最近は洗濯から乾燥まで1台でできる洗濯乾燥機が主流で、時短重視の利用客を中心に人気を集めているようだ。一方で洗濯専用、乾燥専用の機械もあり、洗濯した衣類を持ち込んで乾燥だけさせるといったやり方もできる。事情に合わせて使い分けたい。
いわゆる大物はもちろん、スニーカーや上履きを洗えるもの、ペット用品に特化したものなど、専用機械の種類も増えている。家庭で子どもの上履きを洗おうにも、ベランダでは水が使えず、浴室でやるしかない。ペットの毛が気になるので自宅の洗濯機では洗いたくない。こうした要望に応えている。

料金は機械の大きさや種類により異なるが、大久保さんの会社の製品では洗濯乾燥機が1200円(容量11キログラム)から1500円(18キログラム)程度。乾燥機は中型(16キログラム)で10分間100円、大型(30キログラム)で7分間100円。洗濯機は800円ほど(20キログラム)。最近はスマートフォンを活用してキャッシュレス決済できるところもある。
かかる時間も洗濯物の量などに左右される。洗濯・乾燥で1時間程度が目安になる。大物の布団や毛布でもこの範囲で十分洗えるが、大久保さんは「乾燥機で10~20分追加して乾かすと、手触りよく仕上がる」と語る。
実際に利用する際、手元に用意するのは洗濯物と持ち運ぶカゴや袋、料金くらい。布地の傷みが気になる場合などは必要に応じて洗濯ネットなども持参しよう。
筆者もシーツのまとめ洗いを試してみた。店内に入ってまずは「洗えない物」などの注意表示を確認。洗濯乾燥機の容量をみて、シーツの量に合う機械に入れる。「お急ぎ」「少量」などのコースから「標準」を選んで料金を支払う。洗剤が自動投入されて洗濯が始まった。
洗濯・乾燥が終わるまでの時間が表示されるのは便利。あとは待つだけだ。1時間ほどで無事に終了。取り出したシーツには気になるシワも臭いもなく、満足できる仕上がりだった。
便利なコインランドリーだが、利用上の注意点はしっかり守るようにしたい。ウォッシュテラス湘南台店(神奈川県藤沢市)スタッフの鈴木玲緒奈さんは「汚れがひどい物は持ち込まないなど、マナーを守って利用してほしい」と呼びかける。機械の中に洗濯物を放置したままにするのも避けよう。他の利用客への配慮を忘れず、互いに気持ちよく使えるようにしたい。
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スマホで確認・カフェ併設も

厚生労働省などによると、コインランドリーは1996年度には1万店ほどだったが、今や2万店を超しているとの見方が多い。近年はカフェや美容院などを併設した店も登場。店の外観や内装にこだわり、店内の清掃や防犯カメラなど安全対策にも力が入る。
車がなく洗濯物の持ち運びが大変。行ってから空きがないのは困る。こうした声に応えるサービスも増えた。スマートフォンで店内の使用状況を確認できたり、洗濯物の集配や洗濯代行を依頼できたりする店もある。コストや時間を考えつつ、賢く使いたい。
(ライター 奈良 貴子)
[NIKKEI プラス1 2022年9月17日付]
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