穴あきボードで壁面に収納 小物を整理、片付け楽に

何もない壁面を収納スペースにしたい。そんなときに役立つのが「有孔ボード」だ。多数の穴が等間隔に並び、フックや棚を取り付けて使う。空間の上手な活用法や注意点をまとめた。
有孔ボードはパンチングボード、ペグボード、穴あきボードとも呼ばれる。等間隔に穴があって音の反響を抑えるとされ、音楽室や会議室の壁によく使われている。近年は穴にフックをかけて小物をつるしたり、金具と板を用意して棚をつくったりと、収納にも活用されている。
整理収納アドバイザーの加藤美奈子さんは「片付けが苦手な人は引き出しを開ける動作すら面倒に感じる。有孔ボードならただ置くだけ。使い終わって戻すのも手間にならない」と語る。家具コンシェルジュのマシェリさんも「どこに何があるかが一目で分かる。サッと手に取って使えて便利」と愛用している。
ボードの大きさは卓上に置ける程度から、部屋の間仕切りにできる大型のものまで様々だ。ホームセンターや専門店、通信販売などで購入できる。価格には幅があるが、大きさが60センチ四方で合板なら3000円前後からある。
壁に立て掛けたり、取り付けたりして使う。壁に付ける場合、専用の留め具でしっかりと固定する。使用時の穴が目立たないものもある。賃貸や新築の家だと、壁を傷つけたくない人も多いだろう。天井と床に木材を突っ張らせて柱代わりにできるグッズを使い、そこにボードを取り付ける手もある。
ネジやピンで固定する場合、壁とボードの間には少し隙間を残しておく形になる。ボードにあいた穴にフックをかけるため、裏側に空間が必要だからだ。気を付けたい。
取り付け作業に当たってDIYアドバイザーの末永京さんは「耐荷重が示されていない場合がある。ボードの厚みと壁の強度を意識してほしい」と助言する。重いものを多くつるす場合には6ミリ以上など、厚みのあるボードを選ぶとよいという。固定する留め具の強度も確認したい。
フックを準備するときはサイズに目配りしよう。末永さんによると、ボードの穴同士の間隔(ピッチ)には25ミリと30ミリとがあり、穴そのものの大きさも直径5ミリや8ミリなど違いがある。サイズに合ったフックを用意する。
ボードを設置できたところで、具体的にはどう活用するといいのだろう。例えばマシェリさんは複数設置。ひとつは玄関に置いている。靴棚に卓上サイズのボードを立て掛け、鍵をつるす。趣味で使うインパクトドライバーやペンチなども工具箱には入れず、フックに掛けている。
キッチンでは鍋やフライパンの収納に使う。流し台の上にもプラスチック製のボード3枚を組み合わせて配置。トングやピーラー、布巾などをつるす。料理や片付けをするときの動線も意識する。コンロに近い側にはトングなどの調理小物、流し台に近い側には布巾やスポンジをつるすようにしている。

加藤さんはドライヤーの収納に役立てている。家族が毎日使うが、元の場所に戻さず床に置きっぱなしになることが多かった。T型の長いフックを取り付けて、ドライヤーのための定位置にした。ちなみにS字フックも準備し、鏡や小物をつるしている。
ただタンスや引き出しなどとは違って外から丸見えの収納になるため、何でもかんでもつるしていては見栄えが気になる。加藤さんは「収納に使うのはボード全体の6割程度にとどめ、残りは余白や飾りのスペースにするのを意識している」と説明する。
ボードに収納するのは使用頻度の高いものに絞るのが大事だという。ボード自体や収納する物の色も意識する。「2色ほどに抑えると、統一感が出る」と勧める。
普段あまり使わないものは小物カゴに入れてまとめて置く・つるすなど工夫したい。隠して収納したいものもあるはずなので、別の置き場所も確保しながらうまく使い分けるのがポイントだ。
それでも何となくゴチャゴチャして見えたり、つるす位置のバランスが難しいと感じたりするかもしれない。加藤さんは「スマートフォンでボードを撮影して、全体を客観的に見てみよう」と呼びかける。フックの位置を少しずらすだけで、印象が変わってバランスよく見える例もある。いろいろと試してみよう。
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写真や雑貨 飾る楽しみ

有孔ボードは収納だけでなく、部屋を自分たち好みに飾るのにも役立つ。マシェリさんも加藤さんも、ボードの空きスペースにオブジェを置くなどして楽しんでいる。季節ごとにつるす雑貨を変えたり、お気に入りのポストカードや家族写真を飾る展示スペースにしたりする人もいるそうだ。
マシェリさんは「和小物を置けば、和室にも合う。小物次第でどんな部屋にもなじむし、おしゃれに見えるので気に入っている」と語る。ちょっとした工夫で部屋の雰囲気を変えるアイテムになりそうだ。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEI プラス1 2022年10月15日付]
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