片付けは集中が肝、週末3時間ずつ まずは現状撮影

何かと忙しい師走。片付けのために終日潰すのは気が進まないだろう。だったら、週末の午前中だけ、片付けに充ててみてはどうだろう? 必要な物は、3つだけだ。
片付けに長時間取り組むと、判断力が鈍り、収拾がつかなくなることが多い。時間としては2~3時間集中して、ピタッとやめるのがベスト。「さぁ片付けを始めよう」と、張り切って収納グッズを買いにいく必要はない。自宅にある箱とゴミ袋、そしてスマートフォンかデジタルカメラなどの写真が撮れる機器があれば十分だ。
箱は3辺合計が100センチメートル程度のものがいい。段ボールや収納用プラスチックケース、洗濯カゴや大きめの紙袋など、モノが入れば何でもOK。ほこりが気になる方は軍手とマスクもあるとよい。
3時間も作業をしたくないなら、終わった際のご褒美を準備しよう。例えばウナギの出前を頼んでおく、家族で映画を見に行くなど。プロを呼んでエアコンやレンジフードなどの掃除を依頼し、その間に自分は片付けに集中するというのも一案だ。どんなに調子が良くても3時間でやめるのがポイントなので、後に予定を入れておくと、緊張感を持って片付けに取り組める。
まずは写真撮影をして現状を把握する。3時間を有意義に使うためには、優先順位付けが重要だ。ポイントは、撮影のために物を隠したり整えたりせず、ありのままに写すこと。俯瞰(ふかん)で撮影するとインテリアの方に目がいってしまうため、1点1点の物がハッキリ写るよう撮影する。本棚の前で1枚、クローゼットで1枚、テレビ周りで1枚、という具合だ。
撮影した写真を一覧にして見返し、「なぜ、これがこの場所にあるのか?」と違和感を持った写真を2枚選ぶ。ここから3時間、選んだ場所にのみ、集中して取り組もう。
次は「箱に移して、全部出す」を繰り返す。片付けの基本は「持ち物を全部出して、向き合うこと」だが、部屋中の荷物を一気に出してしまうと収拾がつかなくなる。時間配分の目安を知るために、重宝するのが箱だ。100センチメートルサイズの箱1箱分を整理収納するのに、約30分間かかる。筋トレのように、30分を1セットに、計5回繰り返す。
何も考えずに、荷物を箱に詰めよう。棚にきれいに収まっている場合も、必ず一度全部出すようにする。箱がいっぱいになったら、床またはベッドの上に、荷物を1点ずつ並べていく。この時、カテゴリーではなく、「使用頻度」と「愛着」で分類しながら並べるのがポイントだ。

「年内に使う予定がある」「2022年のどこかで使いそう」「使う予定はないが愛している」「使いもせず愛着もない」の4象限に分けることで、自分が物を持つ理由と向き合うことができる。
「年内に使う予定がある」物から優先的に、出し入れしやすい場所に定位置を決める。頻繁に使う物を奥まった場所に収納してしまうと、すぐにリバウンドしてしまい、片付けをした意味がない。詰め込み過ぎず、余裕を持って定位置を与えた上で、他の象限の物の定位置を考えよう。
使わないし愛着もない物は思い切って手放そう。ため込むとスペースが逼迫し、管理できなくなるので、とにかく部屋の外に出すのが重要だ。愛する物・使う物を守るためにも、ここは心を鬼にして。
ゴミ箱に捨てるのは心が痛むというなら、売ったり、寄付したりするのも選択肢だ。ある調査によると、クリスマス前は、フリーマーケットアプリでブランド品が売れやすい。古本や古着を寄付して、子どもたちにプレゼントを届けるNPO法人もある。同僚や友人に、欲しい人がいないか募ってもよいだろう。衣類やタオルなら、雑巾にして活用もできる。今後も大切にしたい物か、いま一度考え、答えがNOならば、売る・譲る・寄付する・再利用するといった方法で部屋の外に出す。
一人暮らしの部屋全体を片付けるのに、整理収納アドバイザーでも20時間はかかると言われている。3時間では残念ながら、部屋全体を片付けきることは難しい。3時間で効果を実感したら、今後も引き続き「週末3時間片付け」を続けよう。繰り返していけば、部屋のサイズやきちょうめんさにかかわらず、誰でも整った部屋をキープできる。
◇ ◇ ◇
書類の山は年末にリセット

書類は整理のきっかけがないと、どんどんたまっていくもの。「来年も使うか?」という観点で、年末にまとめて仕分けをしよう。紙袋にあらゆる書類を詰めておき、コタツに入りながら、あるいは、家族でテレビを見ながら、時間を見つけて少しずつ仕分けをしていこう。
「内容は見返したいが、紙ではなくデータでも良い」という書類は、この機会にまとめてスキャンを。量が多い場合は、段ボールに詰めて送るとスキャンを代行してくれるサービスもあるので活用したい。
(整理収納アドバイザー 米田 まりな)
[NIKKEI プラス1 2021年12月11日付]
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