洗濯「3つの量」意識 衣類・水・洗剤バランス見極め

洗濯がうまくいかないと、つい洗剤や洗濯機のせいにしたくなる。しかし実際は使いこなせていないだけかもしれない。まずは洗濯において大事な「3つの量」が適切か点検しよう。
洗濯では衣類の汚れを洗剤で包み込み、たっぷりの水ですすいで落とすというのが基本的な考え方になる。あまり考えずにただ洗濯機に放り込んでいるだけだと、汚れがしっかり落ちない洗濯が繰り返されてしまう。
汚れをしっかりと落とすために押さえておいてほしいポイントが衣類、水、洗剤の3つの量のバランスだ。
最初に衣類の量を確認してほしい。洗濯機の中では衣類が物理的に動き回ることによって汚れが落ちていく。しかし相談を受けていると、洗濯機に衣類を多く入れすぎている人が多いように感じる。洗濯機の中での衣類の動きが鈍くなり、汚れが落ちにくくなってしまっている。
洗濯物を入れるときは洗濯槽の中に入れた衣類が余裕を持って動き回れる量かを見定める必要がある。
洗濯機には「ドラム式」と「縦型」がある。特にドラム式では縦方向の回転の動きで衣類を持ち上げては落とす「たたき洗い」が基本だ。たたき効果が出ない状況ではきちんと洗えない。
だからこそ衣類の量は少なめにする。洗濯槽の大きさに対して半分から多くても3分の2程度までの量になるよう調整したい。そのうえで、しっかりとたたき効果がでているか確認する。
次に水の量だ。衣類の汚れは基本的に水に移すことによって落としている。しかし水の量が足りなければ、洗浄にムラが出たり、汚れが十分に落ちなかったりするだろう。いったん落ちた汚れが衣類にまた戻ってしまう「逆汚染」という現象に加え、色移りも起こりやすい。
近年は洗濯機の節水志向が強まっており、自動設定したときの水量がとても少ない機種が目立つようになった。節水は確かに大切だ。ただあまりに水が少なすぎると、汚れは落ちにくい。
縦型洗濯機の場合、入れた衣類が水面よりも上に出ている状態では水が少なすぎると考えてほしい。縦型では洗濯槽の横方向の回転による「もみ洗い」で汚れを落としている。洗濯槽に入れた衣類がすべて浸り、しっかりと水流が起きるだけの水量を確保する必要がある。
ドラム式洗濯機はもともと縦型よりも水の量が少ないうえ、細かく水量を設定できない機種が多い。ただ水量多めといった設定ができるのであれば、そうした機能を活用してみるのも手だ。
最後に洗剤の量。洗濯機に入れる衣類、水の量に合った量を使うのが原則だ。洗濯機に表示された衣類の量または水量を確認し、洗剤はパッケージに示された目安の量を入れるようにする。ちなみに洗濯機のタイプによって、ドラム式では衣類の量、縦型では水量に応じて適切な洗剤量が示されるケースが多い。

水の中に洗剤が満遍なくある状態になれば、衣類の汚れをきちんと包み込める。洗剤が足りないと、水の量が少ないときと同じように汚れが落ちず、洗浄のムラや逆汚染が生じかねない。
一方で洗剤の量が多すぎても、過剰に泡立つなどして洗浄の妨げになる。決められた量を守って洗うのが最も効率がよいだろう。
洗濯をするにあたって、衣類、水、洗剤という3つの量のバランスを適切に設定するのは基本中の基本になる。改めて見直してみよう。
そのうえでもう一つ、考えたいのが「すすぎ」の大切さだ。洗いの工程で残ってしまった洗剤や汚れを落とす、または薄めるのが目的だ。すすぎの回数を増やすほど、残る洗剤や汚れは減る。仕上がりを大きく左右する。
3つの量やすすぎをあまり意識せずに洗濯をしている人は意外に多いようだ。洗濯がうまくいかずに「汚れが落ちにくい」「不快なニオイが残っている」といった悩みを抱える人もいる。
だからといって不必要な部分洗いや漂白をしたり、柔軟剤や除菌・抗菌剤を使いすぎたりするのはおすすめできない。こうした対応をすると、場合によっては衣類の寿命を縮めてしまうし、環境への負荷も大きくなるだろう。ここはやはり洗濯の基本に立ち返って臨んでほしい。
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すすぎ欠かせず 回数調整を

洗濯物をきれいに仕上げるためにも、すすぎ不足という事態は避けたいところだ。試しにすすぎ1回目の水を取り出してみてみると、まだだいぶ濁っている=写真。この濁りが残ったままだと、干した後のニオイや黄ばみの原因になってしまう。
最近はすすぎ1回で大丈夫だという洗剤も登場している。ただ洗濯の質を上げるためにも、洗濯物の状態をみながら回数を調整したい。筆者はすすぎ3回を基準にしている。白いシャツはさらに1回増やしたり、色付きの衣類では2回に減らしたりしている。
(洗濯家 中村 祐一)
[NIKKEI プラス1 2023年2月11日付]
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