クリスマス「待つ日々」も楽しく 短時間の手作り飾り

クリスマスが迫ると、街はイルミネーションや装飾で華やいでくる。室内を飾り付けて気分を盛り上げたい人も多いだろう。短時間で簡単に、手作りでできる工夫を考えてみよう。
最近はクリスマス当日や前夜のパーティーのときだけでなく、何日も前から自宅を飾り付ける家庭が出てきた。クリスマスまでの過程も楽しんでいこうという発想だ。ドイツの「シュトーレン」やイタリアの「パネットーネ」といった伝統菓子を毎日少しずつ味わうのも、気分を盛り上げるのに一役買う。
残る日にちを数えて楽しむ「アドベントカレンダー」も浸透しつつある。日付の書かれた箱や引き出し、袋を用意し、毎日開いてカウントダウンしていくものだ。市販品もあり、中に菓子やおもちゃ、小物が入っている。
クリスマスまでの日々を楽しむといっても、それほど準備に手間をかけられない人は多いだろう。簡単にできることはないだろうか。手作りキットの販売サイトを運営するクラフティ(東京・品川)に、身近な材料でできるオーナメント(飾り)の作り方を教えてもらった。同社のキットデザインチームが薦めるのは額縁や写真立てを活用したフレームリースと折り紙のアドベントカレンダーだ。
フレームリース作りには額縁、テグス(釣り糸)、ドライフラワーや実といった花材、接着剤を用意する。まず額縁のガラスや裏板、台紙を外す。それから額縁をつるために裏に付いている金具を使い、テグスを対角線上に1本通して結ぶ。金具がない場合にはテグスを固定するのに画びょうを使ってもよい。
主役のドライフラワーを束ね、根元と中心部をテグスで巻く。実や葉は周囲に接着剤で付けるなどしてアレンジする。熱で溶かした接着剤が銃の形をした先端から出てくる「グルーガン」は速乾性があって便利だ。できた花飾りを額縁の対角線上にわたしたテグスに付けて形を整える。
クラフティの須藤敦子さんは「花材が額縁の外にはみ出るようにして立体的に飾るのがポイント。ドライフラワーのセットも最近では100円ショップでも購入できる」と話す。テグスを使わず、ドライフラワーを額縁の台紙に貼り付けて裏板をはめればもっと簡単にできる。
アドベントカレンダーは折り紙を三角すいになるようにする(テトラ折り)と、簡単に作ることができる。
まず折り紙を長方形が2つできるよう半分に切る。長方形の長い辺を半分に折り、中央に折り目を付けて開く。それから両端それぞれを中央の折り目に向けて折るが、1センチメートルほど重なるようにする。
重なった部分をのり付けすれば筒状になる。筒のどちらか片側をのり付けして袋状にしたら、中に小さなアメやチョコレート、おもちゃなどの小物を入れる。入れ終えたら既にのり付けした側を持ち、全体が三角すいになるように残る開いた側も閉じて、のり付けする。
三角すいの面の1つに日付の数字を書き、目打ちなどで穴を1カ所開けてひもを通す。クリスマスまでの日数分作り、ツリーにつるしたり、麻ひもに通して室内に飾ったりしてみよう。

須藤さんは「折り紙の代わりに、子どもの描いた絵や中が透けて見えるトレーシングペーパーを使ってもよい。のりではなくてマスキングテープを使ったり、数字は手書きの代わりにスタンプやシールを利用したりするのも楽しい」と助言する。
クリスマスというと、北欧を思い浮かべる人もいるだろう。フィンランド文化を日本に伝えているフィンランドセンター(東京・港)のアンナ=マリア・ウィルヤネン所長はクリスマスマニアを自任するほど。飾り付けのアイデアを聞いた。「フィンランドではクリスマスが近づくと、キッチンにクローブを刺したオレンジをつるしている。シナモンやカルダモンなどの香るジンジャーブレッドクッキーを焼く香りと相まって料理をするのが楽しくなる」
クリスマスになると、ツリーを飾るのが定番かもしれない。ただクラフティの須藤さんは「ツリーを出すのが大変だとしたら、他のオーナメントを飾るだけでも気分が変わる」と強調する。今からでもできる範囲で、手近にある材料を使って飾り付けを楽しんでみるのはどうだろう。
◇ ◇ ◇
フィンランドでの過ごし方は

フィンランド出身のウィルヤネンさんにクリスマスの過ごし方を聞いた。12月24日は昼すぎに家族で教会に行き、帰宅後に甘いミルクのかゆを食べる。アーモンドが入っていたら幸運な1年が約束されるという。
その後、サウナに入り、午後6時からディナーだ。ウィルヤネンさんは3晩分を事前に4日間かけて料理しておく。メニューはニシン料理やハムのローストなど多彩。「フィッシュスープも伝統。苦手な子どももいますが、食べないとプレゼントはなし!と言うので渋々食べる。これが我が家のクリスマスですね」
(ライター 松野 玲子)
[NIKKEI プラス1 2022年12月10日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。