キッチン換気扇、真夏前にスッキリ 油汚れの落とし方
キッチン換気扇の汚れが気になったことはないだろうか。気温が上がってくる時期は厄介な油汚れ落としにもってこい。ただ夏真っ盛りの作業は大変なので、今のうちに取りかかってみよう。
まずはキッチン換気扇の構造を確認しよう。大きく分けて「ファン」と「フード」で構成されている。ファンは回転する本体部分、フードが覆いの部分だ。まとめてレンジフードと呼ぶこともある。
ファンで代表的なのは「プロペラファン」と「シロッコファン」になるだろう。扇風機のような羽根が回るプロペラファンは一戸建てに多く、屋外に直接排気している。シロッコファンは細長い板状の羽根が筒状に取り付けられている。マンションなど集合住宅に多く、ダクトを通じて排気している。
ファンの手前にはホコリや大きな油の粒を受け止める「フィルター」が設置されているケースもあるが、近年ではフィルターのないもの(フィルターレス)、空気の吸い込み口にかぶさるように「整流板」を取り付けるタイプも増えている。整流板は空気の流れを整えて効率よく換気できるようにする働きがある。
調理中に換気扇を動かしていると、それぞれに微細な油やホコリなどが付着する。放置していると換気効率が落ち、室内に熱や蒸気、煙、においが充満してしまう。家の傷みも気になるので、きれいに保つようにしたい。
手をつけやすいのは汚れが目に付きやすいフードの掃除だ。外側を拭くのは市販されている油汚れ用のウエットシートが便利だ。染み込ませている洗剤が油に強い弱アルカリ性、シート部分は破れにくい不織布で、凹凸の付いたエンボス加工の品を選ぶと、汚れを拭き取りやすい。

汚れがひどい部分にはシート自体を湿布のように貼り付けて10分ほど置いておこう。油汚れがゆるみ、それほど力を入れなくても楽に落とせるようになる場合がある。試してみてほしい。
フードの内側、奥にあるフィルターや整流板は普段それほど気にしないかもしれないが、久しぶりに触るとたまった油に驚くだろう。こういった箇所は洗剤を付けて洗い始める前に、まずは油を拭い取るようにしたい。
油汚れ掃除用の使い捨てクロスが市販されているので、準備しておくと心強い。ポリエステルなどの化学繊維を使ったクロスは油を拭き取るのに役立つ。もし汗を吸収しやすい素材のシャツで、着古して捨てる前のものが手元にあれば、拭き掃除に活用してみるのもよい。
プロペラファンや整流板の掃除には住居用のアルカリ洗剤を活用する。汚れている部分に吹きかけ、10~30分ほど置いておく。それから油汚れ掃除用の使い捨てクロスで拭き取るようにする。最後に水洗いすれば、すっきりと汚れが落ちるはずだ。
換気扇の中でも、油やホコリが詰まったフィルターやシロッコファンの掃除は形状の複雑さも相まってとりわけ手間のかかる作業だ。汚れの多寡にもよるが、基本的には取り外してつけ置き洗いをするのがよさそうだ。

まずはフィルターやシロッコファンを丸ごと覆える大きさのゴミ袋を準備する。キッチンの流し台全体をつけ置き洗いの場所にするイメージで使う大型のビニールカバーも販売されている。
40~50度ほどの温度の湯を袋の中、またはカバーで覆った流し台にためる。そこに掃除用に売られている過炭酸ナトリウムの粉末を溶かした液を入れ、フィルターやシロッコファンをつけておく。
30分ほどたつと、汚れが浮いてくる。取り出してからは油汚れ掃除用の使い捨てクロスや使い古した歯ブラシ、フィルターやファンの掃除専用のブラシなどでこすり洗いする。最後にしっかり水ですすいで乾かす。
シロッコファンなどは羽根が鋭利で作業中に手を傷つける恐れがある。アルカリ洗剤を使うこともあり、掃除中はゴム手袋を着けよう。
キッチンの換気扇には油とともに、住まいに飛散する様々な微粒子や繊維がホコリとして付着し、固まっていることが多い。内部は目に付きにくいだけに、掃除も後回しにしがちだ。ただ全部まとめてする必要はない。本格的に暑くなる前の今、目に付いたところから始めてみよう。
◇ ◇ ◇
作業は小分けで ハードル低く

住まいの中でもキッチンの換気扇掃除は大変だと感じる人が多いようだ。だからこそ一度にすべてを済ませようとしない、小分け掃除法がオススメだ。手が空いたのでフードの外側だけやって、内側は別の日にする。フィルターや整流板だけきれいにしてみる。1回に費やす手間や時間が少なくてすみ、心理的にも掃除に感じるハードルが低くなると思われる。
フードの外側など凹凸の少ない部分は比較的作業しやすい。まずこうしたところから始めると、きれいになった実感を得られ、掃除にも弾みが付きそうだ。
(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)
[NIKKEI プラス1 2022年5月7日付]
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