編集者は「建築家」 フォントや行間、思いやり設計
今こそイケてる!紙の本(2)
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電子書籍の普及が本格化して10年がたち、漫画や実用書をスマートフォンやタブレット端末の画面で読むのは珍しくなくなった。だが、人文書・文芸書の分野は依然として紙の本が優勢。紙の持つ特性を生かしつつ、斬新な企画を掛け合わせる。ヒットの陰には、嗅覚鋭く、本を愛する若手編集者たちがいた。
物理的にも患者に寄り添う本を
糸でとじた背中が見える。手で押さえなくても開いた状態を保ちやすい。左右社(東京・渋谷)...

電子書籍が当たり前の時代にあっても、紙の書籍を求める人たちがいる。デジタルと違い、紙の本は単に視覚で情報を得る手段ではない。表紙の手触り、ページをめくる音、インクの匂い。様々な感覚を通して人の心にしみ通り、眠っていた感情や記憶を呼び覚ます。新型コロナの感染拡大で人と人の物理的な距離を取る必要がある時代だからこそ、モノとしての本を介したゆるやかなつながりにも光が当たっている。