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「場当たり」「関わりたくない」…DX推進の落とし穴

日本のDX、組織の課題まとめ読み

データとデジタル技術を生かして新たなビジネスモデルを構築する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の流れが世界で加速しています。日本でもパナソニック(現パナソニックホールディングス)がサプライチェーン向けソフトウエアの米ブルーヨンダーを8000億円規模で買収するなど、製造業をはじめ多くの業種の企業がDXに取り組んでいます。一方、情報システム部門の権限が乏しい、中堅社員の動機づけが足りないなどの悩みも。過去の記事からDX推進に向けて解決すべき課題をまとめました。(内容や肩書などは掲載当時のものです)

実権を持たない司令塔

名ばかりCIO、場当たりDX システム開発なお丸投げ

デジタル技術でビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に走り出した日本企業の足元がおぼつかない。過去のリストラで実動部隊の情報システム部門を手放し、司令塔であるはずの最高情報責任者(CIO)も名ばかりという実態があるからだ。コロナ下で世界のDXは加速しており、このままでは置いていかれる。

「進化のスピードが失われている。遅れているDXをどう底上げしていくか」。パナソニックの楠見雄規社長は悩みが尽きない。30余りのカンパニーや事業部を抱え、経営情報を管理する統合基幹業務システム(ERP)が林立。カンパニーや地域ごとに独自コード体系で動いており、グループ全体で経営指標を共有しにくい。

総務省の調査によると、米英独企業の3~4割にCIOがいるのに日本は1割強にとどまる。プロフェッショナルは一握りだ。社内人事で情報システム部門のトップになったというだけでDXの実権もエンジニア部隊もない「名ばかりCIO」が少なくない。DXコンサルティング会社AnityAの中野仁代表取締役は「CIOに権限がないことも多く、情報システムを経営に生かせていない」と指摘する。…続きを読む

リスクを取りたくない

DX遅れは中堅社員のせい? 40代「関わりたくない」4割

大企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は中堅社員がボトルネックとなっている可能性がある。DXに関する意識調査で40代の4割が「関わりたくない」と回答し、世代別で最多だった。中間管理職は短期で成果を求められることに加え、失敗しても挑戦を評価する人事制度がないことが少なくない。前向きにDXに取り組む動機づけが課題となる。

「上から『とにかくやれ』と言われても何から手を付けていいか分からない」。大手製造業で働く40代社員はこぼす。40代は自ら業務をこなしながら、部下の育成や労務管理をするプレイングマネジャーは多い。子育てや介護もある。デジタルを使った新規事業の開発など成果が出るまで時間のかかるDXに時間を割く余裕はない。

人事評価システムのインスティテューション・フォー・ア・グローバル・ソサエティ(IGS)が従業員1000人以上の企業を対象に実施した調査によると、40代の38%が「DXやデジタルビジネスに関わりたくない」と答えた。20~30代の若手だけでなく50~60代を上回り、土本晃世HR事業部長は「やりたくないことと、リスクを取りたくない気持ちが重なっている」と分析する。…続きを読む

大半が「従来型IT人材」

DX担い手、米の1割 AIに必須「STEM」人材へ投資急務

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に不可欠な先端IT(情報技術)人材の育成が遅れている。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoTなどを扱える人材は2030年に27万人不足する見通しだ。だが「STEM」と呼ばれる数学や科学分野の卒業者数は米国の10分の1にとどまり、DXの担い手を十分に育成できていない。人への投資を積極化する必要がある。

経済産業省によると、18年のIT人材の9割がウェブやアプリを開発する「従来型IT人材」だ。AIやIoTなどを専門とする「先端IT人材」は1割しかいない。先端IT人材は今後逼迫し、不足人数は30年に27万人と18年の13倍に増える見通し。従来型IT人材のリスキリング(再教育)では追いつかない。

求められるのは、数学や科学など「STEM」分野の教育を受けた人材だ。米国ではスタンフォード大学などでSTEM分野を学んだ卒業生が米IT大手で働いたり、起業したりする。人材会社ヒューマンリソシアの協力を得て経済協力開発機構(OECD)のデータを調べたところ、日本の「自然科学・数学・統計学」分野の卒業生数は18年に約3万人と米国の10分の1だ。卒業生の14~18年の年平均増減率も日本は0.4%減とフランス(10%増)やイタリア(7%増)などに見劣りする。…続きを読む

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