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村上春樹・司馬遼太郎・山崎豊子…作家が描き愛した関西

関西タイムラインまとめ読み

阪神大震災の2年後に故郷の兵庫県西宮市を歩いた村上春樹さんは「阪神大震災が自分の育った町にどのような作用を及ぼしたのか、それを知りたかった」と記しました。大阪府東大阪市に愛着を持った司馬遼太郎さんは後半生の32年をこの地で過ごしました。人気作家たちはゆかりのある関西を描き、愛してきました。その風景をまとめました。

村上春樹の故郷・西宮―神戸

故郷について書くのはとてもむずかしい。傷を負った故郷について書くのは、もっとむずかしい――。作家、村上春樹さんが1997年5月、阪神大震災の傷が生々しく残る兵庫県内を歩いて書いた文章が「辺境・近境」に収められている。10月発表のノーベル文学賞の候補とされる世界的作家はふるさとで何を思ったのか。文庫本を手に約15キロのルートをたどった。

僕は戸籍上は京都の生まれだが、すぐに兵庫県西宮市の夙川というところに移り、まもなくとなりの芦屋市に引っ越し、十代の大半をここで送った」。実家は95年1月の阪神大震災で「ほとんど居住不可能」になったという。...続きを読む

山崎豊子が描いた堺の手拭い・船場 

低い軒庇(のきびさし)の仕舞屋(しもたや)がたてこんだ毛穴(けな)町の一角を通りぬけ――。山崎豊子の小説「女系家族」の一節だ。この堺市毛穴町には、同じ石津川沿いの津久野町とともに、綿布を漂白し、色鮮やかな柄に染め、手拭いや浴衣生地に加工する地場企業が集まる。様々な絵柄、紋様の手拭いを都心の雑貨店や旅先の土産物店などで見かけるが、その多くが大阪・堺の一画で生まれているという。

1960年代に書かれた女系家族では「晒工場の廃液から出る臭気」とあるが、「今はもう、そんな臭いはしませんよ」とはこの地一番の老舗、武田晒工場の武田清孝社長。薬剤を見直し環境負荷を抑えた「ECO晒」は横浜の大手ブランドに採用された。ガーゼも含め国産和晒綿布の9割をこの地の各社が担う。...続きを読む

たった五間幅ほどの澱(よど)んだ何の変哲もない川筋が、船場という大阪の尊大な街を型造っている」(山崎豊子著「船場狂い」)と描かれるなど特別な存在だった大阪の船場地区。江戸時代以来、商都大阪のへそとして栄えた船場地区が変わろうとしている。タワーマンションなどの増加で人口や活気は回復してきた。様々な市民活動グループが連携し、近代建築を生かしたり活性化アイデアを募ったりして、伝統を生かした新たなまちづくりの機運が高まっている。...続きを読む

谷崎潤一郎が描写した阪神大水害

1995年に阪神大震災が起きるまで阪神間の大きな自然災害といえば豪雨による水害だった。38年7月の阪神大水害では六甲山地の全河川が氾濫し、神戸市などの市街地に巨石や土砂が流れ込んだ。

六甲の山奥から溢(あふ)れた山津浪(なみ)――。押し流されて来た家や、土砂や、岩石や、樹木が、後から後からと山のように積み重なってしまった――。谷崎潤一郎の小説「細雪」は当時の模様を詳しく描いている。六甲山系で700人近くが犠牲になったこの水害を契機に国や県などによる本格的な砂防事業が始まった。...続きを読む

司馬遼太郎記念館11月で開館20周年

「竜馬がゆく」「坂の上の雲」などの歴史小説で知られる国民的作家、司馬遼太郎(1923〜96年)。この作家が後半生の32年を過ごし、愛着を持ったのが大阪府東大阪市だった。旧邸と隣接して整備された司馬遼太郎記念館は、11月で開館20年を迎える。

記念館は司馬が亡くなって5年後にできた。晩年まで暮らした東大阪市小阪の旧邸には、司馬が使っていた書斎が愛用の眼鏡、長椅子などと合わせて、生前の時そのままに残っている。この旧邸を生かしつつ、記念館が隣接地に建設された。設計は大阪が生んだ国際的建築家の安藤忠雄氏。

記念館最大の売り物が、巨大な書架だ。地下から3層吹き抜けで見上げる壁面を、約2万冊が埋め尽くす。これでも全蔵書の3分の1にすぎないというが、群書の壁は、戦国時代や幕末を舞台に群像が織りなす人間模様を描く司馬の作品世界と、どこか重なる。...続きを読む

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