玄海原発、運転停止長期化へ 3、4号 テロ対策遅れで
九州電力は30日、玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県玄海町)の運転計画を見直し、両機とも長期間にわたり運転を停止すると発表した。国が義務付けるテロ対策施設「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の設置が期日に間に合わないためだ。定期検査中で運転を止めている3号機は、停止期間を6月下旬から23年1月下旬まで延ばす。4号機は4月末から予定する定期検査の実施期間を変え、夏の需要期に稼働させた上で、9月中旬から23年2月下旬まで運転をとめる。

特重施設は2013年に施行された新規制基準で設置が義務付けられた。玄海原発の設置期限は3号機が8月24日、4号機が9月13日だ。ただ、同工事は新型コロナウイルスの影響や、21年11月に発生した現場火災を受けた約3カ月間の工事中断で進捗が遅れ、期日に間に合わないことが確実になった。
今夏については、4号機で4月末から9月下旬に予定していた定期検査の期間を圧縮し、7月上旬から約2カ月間は動かせるようにした。九電では夏場の電力需給については、「同機の稼働で供給力は問題ない」とみる。一方で、今冬については供給が不足する可能性があり、8月に運転の停止を予定していた石炭火力発電所1基の運転延長を検討する。
九電では、玄海原発が停止することで、1基あたり1カ月で約50億円のコスト増につながる可能性があるとする。慢性的な燃料高に直面するなかで、原発の稼働率が大幅に低下することで、業績へ大きな打撃を与えそうだ。