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沖縄振興予算、2998億円要求 10年ぶり3000億円下回る

内閣府は31日、2022年度予算の概算要求で沖縄振興予算として2998億円を求めたと発表した。21年度予算に比べ0.4%減で、要求段階で3000億円を下回ったのは10年ぶりとなった。米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡る沖縄県との対立を背景に、減額傾向が一段と鮮明になった。22年秋の知事選を控え、政府は県をけん制する狙いがある。

沖縄振興予算は各都道府県が省庁別に要望する予算を、沖縄に限っては内閣府が一括して扱う。今後、財務省との折衝を経て年末に予算案を閣議決定する。沖縄・北方相を兼務する河野太郎規制改革相は31日の記者会見で「沖縄の優位性や潜在力を生かして日本経済のけん引役となれるよう、必要な予算の確保に取り組みたい」と述べた。

県が市町村と調整して配分先を決め、使い道の自由度が高い沖縄振興一括交付金は、21年度予算と同じ981億円に据え置いた。当初予算ベースではピークの14年度の1759億円から778億円少なくなった。

県を通さず市町村に直接交付する沖縄振興特定事業推進費は80億円とした。6%減だが21年度は前年度から55%増額しており、高い水準を維持する。政府は予算面での県の裁量を減らす狙いがある。

事業別では公共事業費が11%減の1262億円とした。大型工事が一巡したのに加え「沖縄の社会資本整備は進展してきている」との自民党内の議論を反映した。これとは別に、現段階で金額を示さない「事項要求」として防災事業などを盛り込んだ。

沖縄特有の課題に焦点を当てた事業には重点配分した。ひとり親家庭の支援といった子どもの貧困対策に27%増の19億円、離島活性化には67%増の25億円を充てた。デジタル技術による物流の効率化など産業振興事業に18億円を積んだ。

税制改正要望では、沖縄県産のビールや泡盛の酒税を軽減する措置の「段階的廃止」を明記した。22年に沖縄の本土復帰50年を迎えるのに合わせ、振興策本来の目的である自立的な発展を促す狙いがある。

県は「国家戦略として沖縄振興策を推進するには、県と市町村の自主性と主体性が発揮できる財源が必要だ」として、3600億円規模の予算を求めていた。玉城デニー知事は31日、「3000億円台の維持を切に要望する」とのコメントを発表した。

現在の沖縄振興計画の期限となる21年度までの振興予算の3000億円台確保は、安倍晋三前首相と仲井真弘多元知事が13年に交わした約束に基づく。仲井真氏による辺野古沿岸部の埋め立て承認に先立ち、安倍氏が打ち出した。

14年度予算は3501億円と概算要求から93億円上積みされた異例の予算だったが、14年12月に辺野古移設反対の翁長雄志知事(当時)が就任してからは減額傾向が続く。18年度以降は4年続けて3010億円だった。

辺野古移設を巡っては、反対姿勢の玉城県政と政府の法廷闘争が相次ぎ、対立が深刻になっている。22年は1月に辺野古のある名護市で市長選、秋には知事選が実施される予定で、結果は移設問題に影響を与える可能性がある。

10年ごとに策定してきた沖縄振興計画を巡っても政府と県の間に溝がある。沖縄振興策の基礎となる計画で、県は10年の延長を求めている。

政府は8月24日に示した振興策の基本方針で、法的措置は維持すると明記した。ただ政府・与党内には新型コロナウイルス禍で厳しさを増す財政状況などを念頭に「沖縄だけを特別扱いできない」との声があり、期間の明示は避けた。(児玉章吾)

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