大分・国東高に「宇宙コース」 24年度から、県教委発表
大分県教育委員会は27日、県立国東高校(同県国東市)に2024年度から「宇宙に関するコース」(仮称)を設置すると発表した。同市にある大分空港を人工衛星の打ち上げ拠点などとして活用する「宇宙港」構想が近く動き出すことに伴い、全国から生徒を募集。宇宙関連産業を担う人材の育成を目指す。

公立高が宇宙関連の課程を設けるのは全国でも珍しいという。国東高の宇宙コースは普通科に設ける予定だ。募集人数やカリキュラムは今後詰めるが、進学や宇宙関連産業への就職を想定しており、大学や企業などと連携することを視野に入れる。
航空機を用いて空中から人工衛星を打ち上げる事業を手掛ける米ヴァージン・オービットは大分県と20年に提携。アジアでの拠点として大分空港を利用するための準備を進めている。大分での「水平型」打ち上げの開始は早ければ22年内を目指している。米シエラ・スペースも今年2月、宇宙輸送船のアジアでの着陸拠点として大分空港を活用することを検討する覚書を県などと結んだ。

こうした「宇宙港」構想が本格的に動き出せば、国東市をはじめとする大分県内に宇宙関連産業が集積する可能性がある。18年には、デンケン(由布市)やニシジマ精機(佐伯市)など県内4社が九州工業大学と共同開発した超小型衛星「てんこう」が鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた経緯がある。
大分空港から車で約10分という至近距離にある地元の高校が関連人材の育成に取り組むことで地域産業が活気づけば、県経済へのプラス効果も見込めそうだ。