北九州パワー、グリーン水素を製造 太陽光や風力活用
北九州市が出資する新電力の北九州パワー(同市)は25日、再生可能エネルギー由来の電力を使い製造過程で二酸化炭素(CO2)を出さない「グリーン水素」をつくる実証事業を本格的に始めた。太陽光や風力、バイオマスによって生み出された電力の余剰分を使って水素を製造・圧縮し、福岡県内の3市に輸送する。発電量が天候により左右されやすい再生エネを使って水素を安定的につくるノウハウの蓄積を目指す。

実証事業は環境省からの委託。北九州パワーはIHI、ENEOS、ガス製造の福岡酸素(福岡県久留米市)などと共同で、2022年度まで実施する。北九州市若松区の工業地帯の一角で作られた水素は、福岡、北九州、久留米3市に輸送され、燃料電池車(FCV)やフォークリフト、水素実証住宅などのエネルギーになる。
次世代エネルギーと期待される水素は、製造過程の違いで「グレー」「ブルー」「グリーン」の3つに分類される。九州でも環境に配慮したブルーやグリーンの水素製造が増えている。大林組は7月、大分県九重町で地熱発電を活用したグリーン水素の実証プラントを稼働させた。
グリーン水素は再生エネ電力を使って水を分解して水素をつくる。その際に大量の電力が必要なため、安価な再生エネ電力の確保が課題になる。
25日の水素製造設備の稼働式に出席した福岡県の服部誠太郎知事は「北九州は港湾区域で洋上風力発電事業が始まるが、将来は響灘の一般海域でも洋上風力発電ができるようにしたい。洋上風力から水素をつくるサイクルが生まれることを期待している」と述べた。

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