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九州路線価、上昇率鈍化 福岡は全国首位も沖縄伸び縮む

国税庁が1日発表した2021年の路線価(1月1日時点)で、九州7県の標準宅地の評価基準額は前年比0.4%上昇した。5年連続の上昇だが、率は前年から縮小した。福岡県が都道府県別の上昇率で1位になった一方、長崎県や大分県は下落へ転じ、前年首位の沖縄県も上昇率が大幅に鈍化した。新型コロナウイルス禍で商業地や観光地が低迷した一方、住宅地は底堅かった。

福岡県は1.8%上昇したが、率は20年から3ポイント縮小した。福岡市では渡辺通り(中央区天神2丁目)が8年ぶりに横ばいとなり、住吉通り(博多区博多駅前2丁目)も上昇幅が縮小した。再開発の進捗でオフィス需給が緩むとの指摘もあり、「投資採算性から上昇余地が狭まっている」(県内不動産鑑定士)との声も出た。北九州市の平和通り(小倉北区京町3丁目)も横ばいだった。

ただ、同県各税務署の最高価格地点で下落したのは、大牟田、甘木、田川の3エリアだけだった。三好不動産の堂脇善裕執行役員は「ホテル用地の需要は減ったが、代わりに投資用マンションやオフィスの開発業者が土地を買い支えている」ことで、地価が底堅いと指摘する。

福岡市への通勤者の住宅需要も地価を支えた。県内の上昇率上位には、同市の西新や千早、春日市など住宅地として人気のエリアが並んだ。佐賀県も佐賀市や鳥栖市など、福岡への通勤圏で上昇した。福岡市エリアより土地が割安なことから物件の利回りを確保しやすく、開発業者が相次ぎマンションなどを建設していることもある。佐賀県の不動産鑑定士、市丸亮介氏は県西部では下落した地点が多いとして、「県外からの需要の有無で地価が二極化する傾向にある」と指摘した。

九州・沖縄で上昇率上位の福岡市早良区西新

沖縄県ではコロナ禍の影響で、市中心部でも下落に転じた地点があった。那覇市の国際通り(久茂地3丁目)は1.4%減と、11年以来の下落となった。石垣市の市役所通り(大川)が3.3%減、宮古島市の西里大通り(平良西里)は横ばいだった。不動産鑑定士の浜元毅氏は「コロナ終息後を見据え、沖縄の『表玄関』に拠点を置きたい法人は依然多い」として、下落は一時的との見方を示した。

熊本県は上昇率がほぼ横ばいまで縮小した。20年7月豪雨の影響で県南地域の地価が下がったのが影響した。被災地の人吉市では9.1%下落した地点もあった。コロナ禍で熊本市中心部のアーケード街である下通り(中央区手取本町)が7年ぶりに下落へ転じたのも響いた。不動産鑑定士の藤井貞人氏は「コロナの感染拡大が続けば、さらに下落する可能性はある」と指摘する。

九州南部や長崎県も地価はふるわなかった。

鹿児島県や宮崎県は下落幅が広がった。鹿児島市の繁華街、天文館電車通り(東千石町)は9年ぶりに下落した。不動産鑑定士の山口幸太郎氏は「コロナで飲食店の不動産需要が細り、土地の収益性も落ちている」と指摘した。宮崎市でも繁華街「ニシタチ」のある橘通り(橘通西3丁目)などで物件の取引が低調となっており、「今は様子見の状態」(県内不動産鑑定士)にあるという。

大分県は3年ぶりに下落した。上昇していた別府市の駅前通り(北浜2丁目)は、4年ぶりに横ばいとなった。不動産鑑定士の安東正二氏は「宿泊業や飲食業が集積する別府市は、コロナ禍で大きな影響を受けた」と指摘した。

長崎県も4年ぶりに下落した。長崎市の浜市アーケード(浜町)など繁華街で地価の上昇が鈍化し、壱岐や五島など島しょ部は下落が続いた。織田雅雄不動産鑑定士は「住宅地にはコロナの影響がほぼ及んでおらず、長崎市内でも高額マンションなどは売れている」と、一定の底堅さはあると指摘した。

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