川辺川ダムに26億円 22年度予算案、九州で治水に重点
政府が24日閣議決定した2022年度予算案で、九州の公共事業関連は熊本県の立野ダムなど防災・治水分野への配分が目立った。20年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策として建設が検討されている川辺川ダムの関連費は21年度当初予算の約5倍の26億円を計上した。豪雨などの被災地で、復旧・復興事業を迅速に進めるため、原形復旧を必ずしも前提としない方法も示されるなど、災害復興のあり方を探る動きもあった。
ダム整備では九州で6件が計上された。金額では立野ダムが4%増の165億円で九州で最大だった。流水型ダムとして建設中で、本体工事や管理施設の設置費が盛り込まれた。川辺川ダムは21年度に続き、ダム本体の建設に向けた検討費用を計上した。地質や環境など調査項目が増え、26億円を計上した。
「筑後川水系ダム群連携」(福岡県)では導水ルートを定めるための地質・環境調査などに4億円を計上。本明川ダム(長崎県)の整備に向けた費用などに53億円、城原川ダム(佐賀県)は10億円で、21年度と同水準だった。
21年8月豪雨など豪雨被災が相次ぐなか、迅速な復旧を実現するため、従来の原形復旧のみを前提とするやり方を見直す。河川の氾濫などで浸水を許容する区域を設け、河川改修費の膨張を抑える。これによって節減された事業費を下回る範囲で、浸水を許容する区域の住宅移転などを支援する。九州の被災地の復興や流域治水の進め方に影響を与えそうだ。

鉄道インフラの整備では、22年秋に武雄温泉(佐賀県武雄市)―長崎(長崎市)間で開業する西九州新幹線の整備費などに120億円を充てる。工事のピークを過ぎており、21年度当初予算に比べて490億円減となった。
運営権売却方式で民営化した空港の運営事業者を支援する無利子の貸し付けも継続する。予算額は21年度当初予算比で約4倍の127億円で、九州では福岡空港と熊本空港が対象となる。
道路改築事業(1兆451億円)には、バスターミナル再編と再開発を絡めた「バスタプロジェクト」の関連予算も盛り込まれた。長崎駅などで検討が進んでおり、官民連携や民間資金活用の検討を採択の要件とし、地域活性化への効果に応じて予算を重点配分する方針が示された。
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