福岡県の小川知事が辞表提出、50日以内に選挙へ

肺腺がんで入院中の福岡県の小川洋知事(71)が22日、県議会に辞表を提出した。療養しながら職務を続けるのは困難だと判断した。職務代理者を務める服部誠太郎副知事が同日午後、入院先の病院を訪問。小川知事から辞表を受け取り、吉松源昭県議会議長に提出した。辞職日は3月24日。

吉松議長は22日に県選挙管理委員会に通知した。公職選挙法の規定で、選管は23日から50日以内に選挙を行うことになっており、4月にも知事選が実施される。
服部副知事は辞表提出後に記者会見し、小川知事から預かった県民へのメッセージを代読した。小川知事は「病状と体力を考えると、これまでのように知事としての責任と役割を果たせないため、断腸の思いでこの決断にいたりました。大変申し訳なく、私自身、とても悔しく、残念でなりません」とした。
また、22日開会した県議会定例会に提出された新型コロナウイルス対策を柱とする新年度予算案については「県政を着実に進めるため、ぜひとも成立させていただきたい」とした。
服部副知事は「本格予算が提案されたのを確認して、ギリギリの判断をされた」と小川知事の心情を思いやり、「職員と一緒に全身全霊をあげて取り組んでいく決意だ」と述べた。
小川知事は2020年12月、肺炎の症状で九州大病院(福岡市)に1週間入院。その後も、せきや息苦しさが改善せず1月20日に再入院した。2月12日の公務復帰をめざしていたが、服部副知事が9日、病名を「原発性肺腺がん」と公表。知事の入院を延長し、3月31日まで服部副知事が職務代理を継続するとしていた。
小川知事は1949年、福岡市生まれ。京大法学部卒業後、通産省(現経済産業省)に入り特許庁長官や内閣広報官を歴任した。麻生渡前知事から後継者指名を受けた11年の知事選で初当選した。現在3期目で任期を23年4月まで残していた。
知事としては「県民幸福度日本一」を掲げ、県が強みを持つ自動車産業の振興や農林水産業の競争力向上に取り組んだ。ユニ・チャームや資生堂などの工場誘致を実現し、雇用情勢はコロナ前には大きく改善した。「スポーツ立県」を掲げてラグビー・ワールドカップ日本大会の試合も誘致した。
東九州自動車道(北九州市―宮崎市)の全線開通や福岡空港の民営化などインフラ整備にも注力。20年まで4年連続で発生した大規模自然災害からの復興も主導した。