/

公示地価、九州・沖縄は上昇鈍化・下落相次ぐ

国土交通省が23日発表した2021年の公示地価(1月1日時点)で、九州・沖縄8県は新型コロナウイルス禍により経済活動が鈍り上昇率の鈍化や下落が相次いだ。商業地では前年は上昇率が都道府県で一番高かった沖縄が横ばい圏となり、長崎や大分は4年ぶりに下落に転じた。一方、賃貸住宅向けなどの需要が底堅かった福岡は、上昇率が初めて全国首位となった。住宅地は住宅需要の減少や災害などが響いた。

商業地

福岡県の商業地は上昇率が縮小した。繁華街へのアクセスがよい福岡市周縁部では高い上昇率を保った地点もあったが、同市中心部の博多区と中央区で上昇率が縮小した。九州・沖縄の最高価格地点となった中央区天神の「天神コアビル」跡(1平方メートル当たり1100万円)も、前年の12%上昇から一転して横ばいとなった。賃貸住宅の適地が少ない北九州市は0.1%上昇と、前年の1.3%上昇から縮小した。

九州・沖縄商業地の最高価格地点がある天神では再開発が進む(福岡市)

観光地も伸び悩んだ。沖縄県は前年から伸び率が10ポイント以上縮小した。那覇市の繁華街「国際通り」付近では前年の4割上昇から、一転して下落した地点も出た。ただ「現在の価格上昇の失速は一時的だとみて、土地取得を問い合わせてくる県外投資家もいる」(地元不動産鑑定士)という。

長崎県では22年秋に新幹線が暫定開業し、新駅ができる大村市は上昇したが、長崎市が横ばいとなった。大浦天主堂などの観光施設がある大浦エリアなどで下落に転じる地点があった。大分県では別府市と由布市が1%弱のマイナスに転じた。大分市は5年連続で上昇したが、歓楽街「都町」で下落に転じた地点があり、大分駅前でも上昇幅が大きく縮小した地点が見られた。

熊本県は4年連続で上昇したが、上昇幅は前年から縮小した。4月に商業施設が開業するJR熊本駅周辺が4.4%上昇と、上昇率が県内で最も大きかった。再開発により前年は20%超上昇した熊本市繁華街の桜町周辺の地点は下落へ転じた。

鹿児島県と宮崎県はいずれも30年連続で下落した。両県はコロナ禍の影響が色濃く出た。鹿児島市中心部は再開発が進み地価が上昇基調にあったが、コロナで「天文館地区」などが打撃を受けて同市は4年ぶりに下落した。宮崎市の繁華街「ニシタチ」は廃業率が推計で1割を超え、「賃料の値下がりも影響して地価下落につながった」(不動産鑑定士の上村芳朗氏)ようだ。

佐賀県は横ばいだった。福岡市圏へのアクセスの良さから、佐賀市のJR佐賀駅前のオフィス街には投資目的の需要が根強い。鳥栖市も人口増加を見込み、オフィスや商店の用地を確保する企業が散見されるという。

住宅地

住宅地でも福岡県の上昇率は前年から縮小した。ただ、福岡市の「顕著な人口増加」(国土交通省)を背景に7年連続で上昇し、都道府県で上昇率1位となった。高い稼働率が続く賃貸住宅の用地需要が地価を支えている。地点別の上昇率で全国8位の同市博多区の博多駅南エリアなど、利便性がよく割安感がある地点が上昇した。

福岡市内への通勤者を狙い、同市周辺では住宅開発が進む(博多駅前)

福岡市中心部へ通勤する人を狙った住宅開発の動きは、割安感がある周辺へ広がっている。福岡県内では飯塚市が06年の合併後で初めて上昇に転じた。佐賀県でも通勤圏に入る佐賀市や鳥栖市の宅地需要が強く、県全体でも3年連続で地価が上昇した。

沖縄県は8年連続で上昇したが、上昇率は過去最大だった前年から縮小した。観光関連従事者を中心に世帯収入が減り、住宅の購買意欲が弱まった。那覇市ではマンション販売が伸び悩み、「新築で1000万円値下げした物件もあった」(地元不動産鑑定士)という。

大分県も4年連続で上昇したが、上昇率はほぼ半減した。県全体をけん引している大分市はコロナ禍で市場が停滞した影響が「やや大きく表れた」(地元不動産鑑定士)。主要産業である観光業が打撃を受けた別府市は下落に転じた。

鹿児島県は23年連続で下落し、下落幅も拡大した。コロナ禍での県経済の冷え込みが住宅需要にも反映し、利便性の高さから堅調だった鹿児島市も3年ぶりに下落した。宮崎県も21年連続の下落で、下落幅も拡大した。

熊本県では20年7月豪雨の被害が大きかった県南部の下落が顕著で、人吉市相良町の地点は下落率が全国で最大だった。不動産鑑定士の宮本隆志氏は「治水対策やJR肥薩線の復旧に時間がかかるとみられ、今後さらに下がる可能性がある」と指摘した。

長崎県は3年ぶりに下落した。コロナの影響もあり、長崎市では傾斜地や中心部から離れた地域で需要が落ち込み、マイナスに転じた。五島市、南島原市といった離島や半島では下落傾向が続いている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン