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九州北部13信金、県境越え連携 事業承継支援で

九州北部3県にある13の信用金庫は11日、取引先である中小企業などの事業承継支援で提携すると発表した。事業の引き継ぎ先となる企業や外部の専門家の紹介に加え、専門人材を育てる研修などを共同で実施する。後継者不足や新型コロナウイルスの影響で、事業継続を断念する企業が出ている。広域連携で承継実現の機会を増やして地域の産業を守り、手数料収入の増加も目指す。

九州北部信用金庫協会の会員である福岡県の8信金、佐賀県の4信金、長崎県の1信金が参画し、「九州北部しんきん事業承継ネットワーク」を立ち上げた。事業承継に関し県単位で信金が連携することはあるが、県境を越えた協力は全国でも珍しい。同日、福岡市で記者会見した同協会の野村広美会長(福岡ひびき信金会長)は「事業承継は地域の喫緊の課題。地域経済を守るため連携を強固にしたい」と話した。

13信金は取引先から相談があった事業承継の案件を共有する。その上で引受先になりそうな企業の情報を交換し、最適な引受先が見つかるように連携する。これまでは基本的に自庫の営業エリア内で探していたが、同ネットワークを立ち上げることで最適な引受先が見つけやすくなると期待する。

事業承継支援を巡っては地銀なども力を入れるが、同ネットワークでは信金の取引先に多い零細企業や個人事業主も対象にする。野村会長は「より幅広い企業の事業承継に対応していく」と話す。

九州北部3県の13信金は中小企業などの事業承継支援で連携すると発表した(11日、福岡市)

事業承継には時間や費用がかかり、事業者が断念するケースも少なくない。信金中央金庫が実務を支援することで、迅速な対応を目指す。子会社の信金キャピタルがM&A(合併・買収)の手続きなどを担い、信金中金が提携するスタートアップのトランビ(東京・港)の事業承継サイトを活用する。マッチング成立後に必要となる監査や株式譲渡に関わる契約書類の作成なども、公認会計士や税理士など専門家を紹介する。

帝国データバンク福岡支店が2020年に実施した調査によると、事業承継を経営上の課題に挙げた企業は3県で68.4%と高水準となった。また中小企業庁の調査では、25年には全国の3分の1の中小企業が後継者未定となる見込みだという。

足元ではコロナによる先行き不透明感から、事業継続を断念する企業が増えることへの懸念が出ている。廃業してしまうのではなく、事業承継で必要な技術などを残せるようにして地域経済を下支えする狙いもある。

同ネットワークでは参加信金の実務を担う職員を集めた研修会や、事業承継の案件発掘のため取引先を対象としたイベントなども共同で実施する。ノウハウを共有して成約件数を積み重ねたい考えだ。事業承継支援を通じ、各信金は手数料収入を増やすことも狙う。(千住貞保)

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