JR九州が営業黒字に転換 22年3月期、不動産売却で
JR九州は8日、2022年3月期の連結営業損益が27億円の黒字(前期は228億円の赤字)になりそうだと発表した。新型コロナウイルス禍の影響で23億円の営業赤字を予想していたが、保有するマンションなどを不動産投資信託(REIT)に売却することで、一転黒字になる。鉄道旅客やホテルなどの主力事業はコロナの感染再拡大で引き続き厳しい。

賃貸マンションやオフィスビルを複数棟、3月に計199億円でリートに売ることが決まった。これにより売上高は前期比13%増の3328億円に拡大する見込み。売却益の計上で、営業利益も36億円押し上げる効果がある。最終損益は従来予想の2.9倍の98億円の黒字(前期は189億円の赤字)を予想する。
同社は都市再開発事業を成長の柱とし、借り入れの増加などによる財務悪化を避けるため、21年12月にリートを設立。金融機関などから投資資金を募っていた。今後も市況をにらみながら、保有するホテルや物流施設など、駅ビル以外の不動産の売却を進め、収入を得る計画だ。
同日発表した21年4~12月期の連結決算は営業損益が27億円の黒字(前年同期は186億円の赤字)、純損益が92億円の黒字(同116億円の赤字)だった。21年10月以降にコロナの感染が一時的に落ち着き、10~12月の営業利益は68億円とコロナ拡大後の四半期で最も大きくなった。
ただ22年に入って感染「第6波」の影響が表れている。鉄道取り扱い収入は21年12月にコロナ前の19年12月の76%まで回復していたが、22年1月は57%に落ち込んだ。青柳俊彦社長は1月の記者会見で「『オミクロン株』の影響を注視する必要がある」と懸念している。

こうした状況を踏まえ22年1~3月期の鉄道事業で旅客収入(定期券を除く)をコロナ感染拡大前の65%程度から50%程度に、ホテル稼働率を7割から4割にそれぞれ予想を引き下げた。鉄道事業とホテル事業の営業利益は計10億円、従来予想より下方修正した。
同日開いた投資家向け説明会では、建機販売子会社のキャタピラー九州(福岡県筑紫野市)など法人向けビジネスが好調なことを紹介。「駅への人流に依存しない成長性の高い事業への参入を検討する」と説明した。

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