大分「宇宙港」軸に誘客、由布市や観光団体が新組織

大分県由布市と同市の3つの観光団体、大分県信用組合は9日、「YUFU SPACE コンソーシアム」を立ち上げた。同県では、由布市から車で約1時間の距離にある大分空港(同県国東市)を人工衛星打ち上げなどの拠点とする「宇宙港」構想がある。宇宙ビジネス関連の事業家や技術者などの関係者が由布市内で休養したり、同市を拠点に広域の観光に出かけたりする需要をつかむ。
由布市の相馬尊重市長がこの共同事業体の会長に就いた。理事を観光地域づくり法人(DMO)の由布市まちづくり観光局の桑野和泉代表理事と県信組の吉良晶吉専務理事、監事を由布院温泉観光協会の太田慎太郎協会長と由布院温泉旅館組合の冨永希一組合長が務める。大分県のほぼ中央に位置する由布市をハブに、大分県全体を周遊できるツアー商品を開発することも視野に入れる。

同日の発足式の後、相馬市長は報道陣に「子ども向けの宇宙港勉強会なども含め、まちづくりにつながる新たな取り組みをしていきたい」と抱負を語った。桑野氏は「世界中からお客さまを迎えるための準備を一つずつ積み上げたい」としている。
米ヴァージン・オービット(VO)は、人工衛星を積んだ専用ロケットを飛行機で上空まで運んで発射する「水平型」打ち上げの拠点の一つに大分空港を選んだ。米シエラ・スペースも宇宙輸送船の着陸拠点として同空港を活用する可能性を探っている。
VOは1月に英国からの衛星打ち上げに失敗し、大分での事業をいつ始めるのかが見通せない。それでも由布院では桑野氏が経営する高級旅館「玉の湯」などが打ち上げ関係者の長期滞在を狙った施設整備に動き出している。県信組の吉良専務理事は「そうした設備投資のための資金需要にもこたえたい」と話している。