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鹿児島JA、家畜のフンで低価格肥料 ウクライナ危機受け

ロシアのウクライナ侵攻などで肥料価格が高騰する影響を緩和しようと、JA鹿児島県経済連(鹿児島市)は家畜の牛や豚のフンを使用した肥料を開発した。フンを処理した堆肥を原料の一部にすることで低価格を実現し、7月から県内の農家に販売を開始した。畜産が盛んな同県で大量に出る家畜排せつ物を地域の農業に循環活用し、SDGs(持続可能な開発目標)の推進にもつなげる。

同経済連が開発したのは主に茶の栽培向けの「ミドリッチ茶1号、2号」と、野菜など園芸用の「アグリッチ888」の3種。牛フンや豚フンを乾燥・発酵させてペレットと呼ばれる粒状の堆肥に成形し、化学肥料と混合した。プロジェクトを昨年10月に立ち上げ、生産・販売体制が整ったため7月1日から販売を始めた。

堆肥の吸収率をよくするなど効果を高めながら、価格を抑えた。購入量などによってばらつきはあるが、茶1号は類似肥料に比べ約15%安い20キロ2100円前後、茶2号は約20%安い1900円前後、アグリッチは約30%安い2800円前後とした。

同経済連の柚木弘文会長は「肥料が非常に高騰し、経営に不安を覚える会員が多くなっている」と明かし、今後も肥料価格の上昇が懸念されるため独自の安価な肥料を開発したとする。

7月からの販売分では茶1号とアグリッチを各100トン、茶2号を200トン生産する。まずは県内のみに出荷するが、県外から問い合わせがあれば販売を検討する。今後は用途の拡大を目指し、水稲やサトウキビ、果樹など多種の作物で使える肥料の生産に取り組む。

県内の畜舎で出た牛のフンなどを地域の農業に生かす、耕畜連携の一環としても事業を推進する。同経済連は今年度からの中期3カ年計画で、SDGsへの取り組みを掲げた。出原照彦理事長は肥料開発をSDGsにかなう取り組みと位置づけ、「他県からの視察などを受け入れて仕組みを全国に広めたい」としている。

畜産王国で進む堆肥化 コスト減で注目

肥料価格は、原料である尿素の主要供給国のロシアがウクライナに侵攻した影響などで、全国で値上がりしている。全国農業協同組合連合会(JA全農)は6~10月の地方への販売価格を、前期(2021年11月~22年5月)比で最大9割引き上げると発表した。鹿児島県でも今秋の価格が前期比で倍になった肥料があった。特に輸入に頼る化学肥料の値上がりが目立っている。

こうした高騰を受けて注目されるのが、堆肥を使った肥料生産だ。20年の法改正で肥料配合に関する規制が緩和され、届け出れば堆肥と化学肥料を配合した肥料をつくれるようになった。堆肥を使うことで原料コストを抑えられ、土壌をよくするなど効果も期待できる。

畜産王国の鹿児島県では家畜のフンを資源と捉え、農家や関係団体と連携しながら利用を促進している。県によると、20年度に598万トンの家畜排せつ物が出て、うち452万トンが農業用の堆肥として利用された。昨年策定した県の計画では、30年度に農業用の堆肥利用を478万トンにまで増やすことを目標にしている。(笠原昌人)

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