宮崎市が2年連続日本一 「餃子の街」3強時代に

総務省が7日発表した2022年の家計調査で、宮崎市の餃子(ギョーザ)の1世帯(2人以上)当たり年間支出額が4053円で2年連続の日本一となった。都道府県庁所在地と政令指定都市ランキングでは宇都宮市(3763円)が2位、浜松市(3434円)が3位。宮崎の連覇で「餃子の街」3強の構図が固まった。
家計調査はスーパーの総菜など持ち帰りの焼きギョーザや生ギョーザへの支出を対象に集計しており、外食、冷凍食品は含まない。宮崎は22年上半期の集計で宇都宮に次ぐ2位だったが、飲食店などで組織する宮崎市ぎょうざ協議会が中心となって巻き返した。イベント開催や大手食品メーカーとの連携を強化し、通年で逆転した。

20年に結成した同協議会は毎月3日を「餃子の日」に定め、交流サイト(SNS)で餃子なら宮崎、を地道に発信し続けた。渡辺愛香会長は「上半期の結果は悔しかった。地域の皆さんの応援が励みとなった」と連覇に胸をなで下ろす。
昨年10月の3連休には県内の有名店を集めた「宮崎ぎょうざEXPO 2022」を開催。ポッカサッポロフード&ビバレッジとは販促で組んだ。県内19のギョーザ店で「ポッカレモン」の見本品を提供し、県内外のスーパーには「宮崎餃子×レモン胡椒(こしょう)」と銘打ってPRした。
21年に初めて全国トップに出るまで餃子では伏兵だったが、宮崎県は豚肉の飼育頭数が全国有数で、キャベツやニラの産地もある。チキン南蛮やマンゴーなどおなじみの特産品だけでなく、農畜産物と親和性の高いギョーザも「名物」として定着させて農業、飲食店経営への相乗効果を狙う。

一方、長く2強だった宇都宮、浜松の関係者も同日朝の発表を固唾を呑んで見守った。宇都宮市は統計が公開される朝8時半に合わせ、職員らがホームページで順位を確認。観光交流課の神野沙耶さんは「順位に一喜一憂はしておらず、全国でギョーザが注目されることはうれしい」と話した。
宇都宮は餃子の街をアピールする町おこしの先駆けとして知られる。佐藤栄一市長は「今後もギョーザをはじめとした本市の魅力を発信しながら『餃子のまち うつのみや』を盛り上げていきたい」とするコメントを発表した。
浜松市の担当者は「最近増えている冷凍ギョーザの無人販売などに客が流れている可能性もある」と少し悔しそう。「浜松は今年の大河ドラマの舞台にもなる。多くの人にギョーザなど浜松の食を楽しんでほしい」と話していた。
(武内正直、桜井豪、北戸明良)
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