小規模企業の3割、返済に「懸念」 福岡県信用保証協会
福岡県信用保証協会は2日、2021年6月~22年5月に保証付き融資を利用した企業の経営動向に関するアンケート調査をまとめた。借入金の今後の返済見通しについて「懸念あり」と回答した企業が29%にのぼった。新型コロナウイルスに対応した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」で借り入れが増えているところに物価高が重なり、小規模・零細企業の経営者に不安が広がっている。

調査は9~10月に実施、2167社から回答を得た。9割が従業員50人以下の小規模・零細企業だ。仕入れ先や販路が乏しく、円安による仕入れ価格や燃料価格の高騰の影響を受けやすい。
調査までの半年間の利益率の動向を尋ねたところ、「悪化傾向」との回答が32%にのぼった。このうち対応策として「販売価格への転嫁」を実施している企業の割合は、44%と半数を下回った。資金繰りを巡っては、借入金に「過剰感がある」との回答が85%にのぼった。

返済に「懸念あり」と回答した企業に今後の対応を複数回答で尋ねたところ、「自助努力による業績回復」が50%で最も高くなった。債務に過剰感がある中で「既存借入金の返済条件の変更」は27%、「金融機関からの資金調達」は18%と相対的に低くなった。「廃業」との回答も10%あった。
福岡県信用保証協会は「返済に懸念ありとの回答は想定よりも多かった」とみる。対応策として11月25日、ゼロゼロ融資の返済を22年12月~23年7月に迎える企業3279社に対し、同融資を借り換えることができる制度などの周知を図るダイレクトメールを送付した。
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