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希少糖で糖尿病患者向け病院食 香川大など共同研究

香川県で研究が進む希少糖を糖尿病患者向けの病院食として活用するため、香川大学とボスコフードサービス(同県三豊市)が共同研究を始めた。希少糖は食後の血糖値上昇を緩やかにするとされており、健常者と境界型糖尿病と呼ばれる「糖尿病予備軍」に対しては結果が得られている。今回の共同研究では、糖尿病患者に希少糖を使用した食事を提供して効果を検証する。

ボスコフードサービスは希少糖を使った病院食の開発を進めている

香川大学と、病院などへの給食サービスを手がけるボスコフードサービスが12月から共同研究を始めた。3月末まで、香川大医学部付属病院に入院する糖尿病患者24人を対象に臨床試験を実施する計画だ。

香川は糖尿病が原因で死亡する人数の割合が高い。厚生労働省が発表している2019年人口動態統計によると、人口10万人あたりの糖尿病死亡率は17.1人と青森、徳島に次いで全国で3番目。香川大学医学部付属病院の医学博士、福長健作氏は「改善に向けて食事、運動の両面からアプローチすることが重要」と話す。

希少糖を含有する食事を2日、その後1日空けて希少糖を含有しない食事を2日続けてもらい、食後の血糖値上昇に関するデータを集める。患者には持続血糖測定器と呼ばれる、継続的に血糖値を測ることのできる装置を身につけてもらう。ボスコフードサービスが食事メニューを開発する。

開発にあたっては希少糖の一種、D―アルロースの純度98%以上の粉末を使用する。通常の献立に使う砂糖の使用量はあえて減らさず、一食あたり8.5グラムの希少糖を追加する。砂糖も希少糖も使用した食事で血糖値の上昇が緩やかになれば、希少糖の効果が立証できると香川大はみている。

ボスコフードサービスは希少糖を使うことによる味の変化を研究する。具体的にはハンバーグのタネを作るときに希少糖を使うのか、ソースに使うのか、より味の良い病院食になるようレシピを考案する。

将来的には糖尿病患者が退院した後でも、継続して治療に効果的な食事を提供することを目指す。3月末をめどに臨床試験を終え、9月まで統計学の専門家を交えてデータを分析する。香川大は早ければ年内に研究成果として論文を発表したい考えだ。

ボスコフードサービスは共同研究の成果を事業に生かす。香川大の検証が終了し希少糖の効果が立証されれば、自社の冷凍弁当宅配事業で希少糖を使用した冷凍弁当の販売を始めたい考えだ。

森卓二社長は「1年は香川県内で販売し、その後県外での販売へと広げていく」と話す。冷凍弁当事業だけでなく、病院などへの給食提供事業でも希少糖を使ったメニューを提案していきたい考えだ。ボスコフードサービスは四国、中国、九州など約50施設を取引先としており、香川県内はそのうち4割ほどを占めている。(桜木浩己)

▼希少糖 ブドウ糖や果糖と同じ単糖で、自然界にわずかしか存在しない。1991年に香川大学の何森健教授(当時)が、果糖から希少糖に変換させる酵素を発見した。約50種類ある希少糖すべての「設計図」も解明。香川県の産学官が連携して食品、医療分野への応用に取り組む。
希少糖の一種、D―プシコースはゼロカロリーで砂糖に遜色ない甘みを持つことから「夢の糖」とも呼ばれる。食後の血糖値上昇を緩やかにするだけでなく、内臓脂肪の蓄積を抑え、動脈硬化になりにくくするといった効果も期待されている。

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