島根知事「聖火リレー、理解得られない」 中止を検討
島根県の丸山達也知事は17日、東京五輪の聖火リレーについて「(新型コロナウイルス禍の)現在の状況では、開催は(県民の)理解が得られない」とし、県内開催分の中止を検討することを表明した。同日開催した県の実行委員会で明らかにした。丸山知事は政府や東京都の新型コロナへの対応を疑問視しており、改善を促す狙いがある。

島根県の聖火リレーは5月15、16日に開催予定で、170人が走ることになっている。県では警備費用など約7200万円の事業費を予算化していて、県の判断で事実上中止することも可能とみている。
丸山知事は実行委終了後の記者会見で、東京都が感染拡大によって保健所の調査を縮小して感染経路や濃厚接触者の追跡を十分にできていないことを問題視。東京都の小池百合子知事が「ステイホーム」を呼びかけながら、1月の千代田区長選の応援に出かけた姿勢も批判した。
「このような東京都の対応で五輪を開催することは可能なのか」とし、現状での五輪開催は難しいとの考えを示した。「五輪期間中に感染拡大局面を迎えたときに回避できるのか不安だ。全国に広がりかねない」と懸念を表した。
また丸山知事は、緊急事態宣言の対象地域は時短協力金など政府の支援が手厚いのに対し、島根県など感染者が少ない地域は「(追加支援がなく)捨て置かれている」とし、政府の対応が「不公平だ」と訴えた。
その上で、「心待ちにしていたランナーの皆さんには大変心苦しいが、島根県の置かれた厳しい現状を踏まえると協力するのは難しい」と理解を求めた。ただ「今の時点で中止をお願いするわけではない」とも話し、政府や東京都の対応を今後1カ月程度見極め、聖火リレーの実施の可否を判断する。