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四国の公示地価、下落率が拡大 経済停滞で市街地も打撃

国土交通省が23日発表した公示地価(2021年1月1日時点)で、四国4県は住宅地が前年比0.9%、商業地が同1.1%それぞれ低下した。各県で地価が下落した地点の比率は前年比5~48ポイント上昇した。インバウンド(訪日外国人)の増加や再開発で近年の地価は底打ち感が出ていたが、新型コロナウイルスで経済が停滞した影響が県庁所在地などの市街中心地にも及んだ格好となった。

香川県では横ばいだった住宅地と全用途の平均変動率が下落したほか、昨年に29年ぶりに上昇した商業地も下落に転じた。JR高松駅近くに香川県が新県立体育館の建設を計画するなど再開発の動きに期待が高まっていたが、不動産鑑定士の鈴木祐司氏は「新型コロナで経済活動が抑制され、不動産市場で需要が弱まった。開発分譲地を中心に処分を急ぐ動きがみられる」と指摘する。

高松市中心部の商店街では通行量が減少し、テナントは空き家が目立つなど入居率が低迷している。観光客やビジネス利用による宿泊需要も低調で、県の調査では1月の宿泊者数は2年前の同月比で6割減となっていた。これらの影響などで高松市の商業地の平均変動率は4年ぶりに下落した。

松山市の商業地は0.1%増と4年連続で上昇したものの、上昇幅は縮小した。観光客や大街道など中心部の飲食店の利用者が減少し、開業計画が相次いだホテル開発需要にも不透明感が広がった。住宅地は0.3%減と、前年の横ばいから2年ぶりに下落に転じた。中心部のマンション需要は堅調だが、商談の停滞がみられる。

今治市の工業地は0.4%減と4年ぶりに下落した。受注で苦戦する造船のほか、タオルメーカーの業績悪化などの影響を受けた。今後の見通しについて、愛媛県の不動産鑑定士の藤井徹哉氏は「ワクチン接種のスケジュールに左右される。テレワークの浸透など人々の行動が変化しており、従来のように戻るかも見極める必要がある」と話す。

徳島県内はここ数年は落ち着いていた地価の下落率が再び拡大した。全用途は23年連続で前年を下回り、下落率は9年ぶりに前年を上回った。20年には夏の風物詩である阿波おどりが戦後初めて全日程中止になったことが宿泊施設や飲食業などを直撃。JR徳島駅前のそごう徳島店が20年8月末で撤退したこともにぎわい消失に拍車をかけた。

徳島市を中心とした商業地では上昇地点が1カ所にとどまり、横ばい地点がゼロとなった。同県牟岐町や同美波町などの県南部の地域では、人口減少に加えて、南海トラフ地震の発生リスクから地価下落の傾向が顕著となっている。

高知県も地価の下落傾向が続く。高知市は商業地が0.8%減と、29年ぶりに上昇した20年から一転して下落。同市の住宅地も0.8%低下と、20年に比べて0.4ポイント下落幅が拡大した。インバウンドの消滅でホテルや商店街のにぎわいがなくなったほか、雇用所得環境の悪化も地価の下押し圧力となった。

不動産鑑定士の森沢博之氏は「コロナがいつ収束するのか分からず、県内経済の好転は不透明。地価が好転するのは難しい」と懸念する。

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