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起業支援やIT企業誘致に重点 富山県の21年度予算案

富山県は起業支援やIT(情報技術)企業の誘致に注力する。地域経済を支える製造業などが新型コロナウイルスの感染拡大の打撃を受けるなか、デジタル分野の人材や企業を呼びこんで地盤沈下を防ぐ。人事交流など官民連携も加速する。18日に発表した2021年度予算案は、20年11月に就任した新田八朗知事の独自色がにじんでいる。

新型コロナの影響で富山空港の利用者は減っている

新田県政で初の通年予算編成となる21年度予算案の一般会計は6335億円と過去最大になる。このうち約630億円を制度融資や入院病床の確保など新型コロナ対策が占める。ワクチン接種関連では相談体制の整備などに3000万円を新たに計上した。

「『ビヨンドコロナのわくわくを目指して』がキャッチフレーズだ」。新田知事は同日の記者会見で強調した。石井隆一前知事時代と比べ、予算案からはデジタル分野を中心とする人材育成や企業誘致、官民連携により力を入れる姿勢がみてとれる。

富山県は全国平均を上回る速さで人口減少が進んでおり、デジタル技術の活用による生産性向上などが求められている。県立大学のDX教育研究センター(仮称)整備に16億6900万円を投じ、高速通信に対応した新棟を建てて関連学科の定員を3割増やす。デジタルトランスフォーメーション(DX)に詳しい人材を育成して企業の変革を後押しする。

新田知事は富山、小松両空港の「役割分担もしたい」と述べた

石井前知事時代から計画が進んでいた創業支援施設の整備事業を除く起業支援には、20年度当初予算を800万円ほど上回る6558万円を確保した。新田知事が公約で掲げた「誰もが起業にチャレンジできる資金調達環境の整備」を実行する。創業支援施設での起業家育成プログラムや、資金調達を手助けする協議会の設立などにあてる。

企業立地助成金の要件も緩和する。製造業と比べて投資規模の小さいソフト開発会社などを念頭に、新規立地の場合の申請に必要な投資額を5億円から5000万円に下げる。ものづくりの盛んな地域とあって製造業に有利な制度になっていたが、非製造業が利用しやすくする。勢いのあるIT企業などを呼びこむ。

官民連携も加速する。21年度からNTTドコモの社員をデジタル化推進監兼行政デジタル化・生産性向上課長に起用する。一方、県庁の若手職員を同社に派遣する。デジタル分野の知見を身につけてもらい施策に生かす。全日本空輸からは社員の出向を受け入れ、観光関連部門で働いてもらう。

新型コロナの感染拡大を受けて国際線が全便運休となり、国内線も羽田線の利用者が減って厳しい環境にある富山空港の調査費用として1800万円を計上した。県管理の同空港に民間活力の導入手法を検討する。新田知事は「石川県の小松空港との役割分担もしたい」と述べた。小松空港では難しいプライベートジェットの受け入れを富山空港はできるという。

県の経済振興策を話し合う「富山県成長戦略会議」のメンバーに投資会社レオス・キャピタルワークスの藤野英人会長兼社長ら11人を起用する。新田知事は「突き抜けた議論をしてほしい」と期待を寄せる。

日本海ガス出身の新田知事は51年ぶりの保守分裂選挙となった知事選で「民間企業の当たり前を取りいれる」と訴えて当選した。地元企業からは「ガス会社は半官半民の性格が強いのでは」と冷めた意見も聞かれる。自身の言葉を裏付けるためにも、企業経営のノウハウを県政に生かせるかが大きな課題になる。(伊地知将史)

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