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井戸兵庫知事が6選不出馬 復興に注力 広域連携課題

 兵庫県議会で退任の意向を表明する井戸敏三知事=11日(共同)

兵庫県の井戸敏三知事(75)は11日、次の知事選に立候補せず、5期目の任期満了となる2021年7月で退任する意向を表明した。自治省(現総務省)出身の井戸氏は中央省庁とのパイプを生かし、堅実な行政運営に徹してきたが、県議会などからは発信力の弱さを指摘する声も絶えなかった。1995年の阪神大震災からの復興に最も力を入れてきたものの、まだ課題も残されている。新型コロナウイルス禍にあって大阪府などとの広域連携はより重要度を増している。

井戸氏は任期途中で辞職した貝原俊民氏の後継として2001年7月の知事選で初当選し、現在5期目。自治省時代は官房審議官まで務めた。これまで19年にわたって知事を務め、震災復興のほか、行財政改革に力を入れてきた。

「体力には自信があり、気力に衰えを感じているわけではない。しかし、県庁という組織も若返らせなければならない」――。井戸氏は11日の県議会本会議で、退任の理由について自らの高齢に触れた。5選を争った17年の知事選で出馬表明した際は、多選批判について「情熱がある限り(何期目という)回数の問題ではない」と強調したのとは違った。

目下のコロナ対策に引き続き注力するものの、コロナ後の県政課題として「オンラインの活用をベースとした情報社会への対応」「働き方改革の徹底と起業創業環境の整備」を筆頭にあげた。こうした課題は「従来の延長線では対応できず、新たな発想と行動力、先見性が必要だ」とした。今年に入り、鹿児島県や富山県の知事選で現職が若手に敗れる事例も相次ぎ、「高齢」「多選」への逆風を感じ取っていたともみられる。

「震災の記憶を風化させてはならない」と訴える井戸氏。最も尽力してきたのは阪神大震災からの復興だった。副知事時代も含め、県と神戸市で創設した復興基金を活用し、被災者の生活や産業の再建に柔軟対応してきた。その基金も20年度末で役割を終える。

財政面では18年度に予算の収支均衡を達成するなど、財政再建に一定のメドをつけた。ただ、復興のために背負った巨額の債務が重荷となり、財政規模に対する借金残高の比率を示す将来負担比率が19年度決算で全国最悪の338%と課題は残る。

井戸氏は10年に発足した関西広域連合で初代連合長に就任し、今年12月まで5期連続で務めた。広域防災連携など全国でも先進的な取り組みはあったものの、中央省庁の出先機関の機能移転の受け皿を目指す発足当初の理念では目立った成果はなかった。

一方、コロナ禍で府県を越えた施策の重要性は高まっており、阪神間連携の強化は後任の知事にも求められる。井戸氏が退任表明した11日の夕には早速、大阪維新の会と連携する兵庫維新の会の県議団が「独自候補をしっかり立てていく」と表明した。井戸氏の後継をめぐっては、総務省出身で現副知事の金沢和夫氏の名も取り沙汰される。次期衆院選など今後の選挙の動向もにらんだ各党の駆け引きが激しくなりそうだ。

(小嶋誠治)

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