/

JR三ノ宮駅ビル、計画進まず 神戸活性化に影響も

旧駅ビルの敷地面積は約2千平方メートル

神戸市中心部のJR三ノ宮駅に直結する新ビルの建て替え計画が停滞している。旧ビルの解体工事は12月中に終了予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大でJR西日本による再整備計画は不透明感が増している。阪神大震災で他都市に比べて開発が遅れた神戸の玄関口の活性化全体にも影響しかねない。

「ゼロから検証し、今の時流に合うものを考える」。JR西の長谷川一明社長は10月の決算発表の場で三ノ宮駅ビル計画についてこう述べた。同社の2021年3月期通期の連結最終損益は過去最大の赤字になる見通し。広島駅ビルなど着工済みの計画を優先し、三ノ宮駅ビルは完成時期が当初計画の23年度以降から遅れる見通しだ。

旧三ノ宮駅ビルは神戸ポートアイランド博覧会が開幕した1981年に開業した。2017年に閉館が決まり、18年3月末に閉館した。ただその後2年以上を経ても建て替え計画の概要は示されてこなかった。コロナの感染拡大前から、いくつもの課題に直面していた。

課題の一つは敷地の狭さだ。例えば新たな広島駅ビルは建築面積が約1万4千平方メートル。延べ床面積も10万平方メートルを超える。一方で旧三ノ宮駅ビルの敷地面積はわずか約2千平方メートル。限られた敷地でビル面積をどう確保し、どの程度高層にするか。投資に見合う収益性の見極めが必要になる。

もう一つの課題が、駅前再開発の全体像がはっきりしないことだ。例えば駅南東には三菱地所などによる超高層ビルが26年度に開業予定だ。その後は2期タワーも計画される。ただどんな商業施設やホテルが入るかなどは今後詰めるという。駅前の神戸阪急(旧・そごう神戸)も、エイチ・ツー・オーリテイリング幹部が将来の建て替えに言及している。先行する立場のJRは需要見通しを立てにくい。

さらに神戸の観光、ビジネスの玄関口としての役割も期待される。市はJR西に対し、市営地下鉄や私鉄との乗り換え利便性の向上やウオーターフロントへの導線確保を求めてきた。新ビルは街全体に人を送り込んだり周遊性を高めたりする機能にも目を向ける必要があり、開発は一筋縄ではいかない。

JR西以外でも三宮では複数の開発計画が予定されている

駅ビル開発の遅れが見込まれ乗り換え計画などにも影響が出そうな状況に、市幹部は「意思疎通は続けており、ゼロベースの検討にはならない」とする。拠点開発を担うJR西・事業創造本部の家治川卓也氏も「震災復興が一段落して、駅前は飛躍的に変わっていく。アフターコロナも踏まえて事業環境を見極めたい」と応じる。市とJR西は当面、旧ビル跡地の一部を催し会場として活用する方針だ。

兵庫県立大学の加藤恵正教授は「神戸はちょうど良い街の規模で、広島や福岡に負けない選ばれる都市になるよう都市構造の再編が必要」と話す。都市間競争が激しくなるなか、市とJR西や関係企業は緊密な意思疎通のうえ、街づくりの全体像を描き、方向性を一致させていく必要がある。(沖永翔也)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

新型コロナ

新型コロナウイルスの関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

ワクチン・治療薬 休業・補償 ビジネス 国内 海外 感染状況

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン