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万博のスライド、装飾の先端学ぶ(古今東西万博考)

1900年・パリ

スライドからはパリのアールヌーボー様式を知ることができる

京都工芸繊維大学(京都市)の前身である京都高等工芸学校は1902年に誕生した旧制専門学校だ。同校の設立準備を進めたのが初代校長の中沢岩太。彼がデザインの最先端の知見を得るために訪れたのが1900年に開催されたパリ万博だった。

同年のパリ万博は19世紀最後の万国博覧会として開催され、パリでの過去4回の万博を上回る入場者を記録。当時のパリは新しい芸術活動「アールヌーボー」が盛んになっていた。植物や動物などをモチーフとする優美なデザインが、家具や建築、工芸品などに広がっていた。

中沢は幻灯機械を使ってパリ万博の様子を伝えた

京都高等工芸学校は京都の伝統産業の近代化を目的に設立が準備され、初代校長には中沢が内定していた。京都の陶器など工芸品にいかに最先端のデザインを組み入れるか。パリ万博にあわせて00年8月、中沢は神戸を出航し、渡欧する。数カ月間パリに滞在するなか、中沢は万博を訪問し、「幻灯機械」で投映するために当時の万博の様子が写ったスライドを購入した。

持ち帰ったり仲介業者経由で購入した万博関連のスライドは約70枚。幻灯機械を使い、壁に映し出すことで当時のアールヌーボー様式を生徒たちに伝えた。同大学の教授で美術史が専門の並木誠士氏は「実際に残る生徒作品を通じて、どのようなカリキュラムが行われていたのかがわかる」と話す。例えば、パリから持ち込んだ植物や動物などのモチーフになった装飾品を模写。次に、実際の植物を見てアレンジし、日本の花瓶や茶わんにデザインを施していく授業が行われていたとされる。パリ万博で得た資料が開校以来受け継がれる実学教育に引き継がれている。

(赤間建哉)

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