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中小育成 関西でスクラム NEDOなど国の出先8機関

大阪に拠点を置く国の出先8機関が「関西・共創の森」として連携する

大阪に拠点を置く新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)関西支部など8つの国の出先機関が地元中堅・中小企業の育成で連携する。「関西・共創の森」と称してそれぞれが持つノウハウや設備を持ち寄り、支援先の企業や大学などを紹介する。イベントも共催し、地元企業の実践的な技術開発や事業化につなげる。企業側も技術的課題の解決や取引先開拓に期待を示す。お互いの強みを持ち寄ることで地域活性化をもたらすようなイノベーションを生み出すことができるか、注目を集めそうだ。

この取り組みは、経済産業省近畿経済産業局を軸にNEDO関西支部、中小企業基盤整備機構近畿本部など在阪8機関が立ち上げた。8月には各機関が支援する企業が参加するキックオフイベントを開き、大阪市内の会場やビデオ会議システムを通じて全国の企業や大学・研究機関、ベンチャーキャピタルなどが参加した。関西経済連合会はじめ産学官がウェブ上で開催している「イノベーションストリームKANSAI 2020」では「関西・共創の森」が「協力」という形で参画した。

8月に大阪市内で開いた「関西・共創の森」のキックオフイベントではスタートアップや中小企業がコロナ禍に対応する独自技術などを紹介した。

新型コロナウイルス収束後を見据えた「新常態(ニューノーマル)」をテーマとした8月のイベント。空中に結んだ映像を非接触スイッチとして活用する技術を紹介したパリティ・イノベーションズ(京都府精華町)の前川聡社長は、イベント後に大阪産業技術研究所から共同研究の打診を受けた。ディスプレーの映像を空中に浮かび上がらせる中核技術である透明樹脂板「パリティミラー」の性能改善や量産化に向けた技術開発で「大阪産技研との連携に合意した」(前川社長)という。

このイベントへの参加を機に「京都の機械工具メーカーと事業連携の打診を受けた」と語るのは関西大学発スタートアップ、Phindex Technologies(大阪府吹田市)の北之馬貴正最高経営責任者(CEO)だ。スマホなどを用いる簡易ながらも高精度の位置測定技術に興味が示されたという。

NEDOは「イノベーションストリームKANSAI 2020」で12月中旬に大阪市内で地元中小の取り組みを紹介するセミナーを共創の森と共催する準備を進めていた。コロナ禍の拡大で中止となったが、ルネッサンス・エナジー・リサーチ(大阪市)の岡田治社長はここで「空中の二酸化炭素を効率的に分離できる透過膜の独自技術やバイオガス事業での応用例を紹介する予定だった」。NEDOでは同社はじめ参加各社の発表内容を後日、動画配信する考えで、岡田社長も「バイオガス分野などで実績や技術を持つ中堅企業と連携できれば」と期待を示す。

「これら8つの出先機関がそろうのは大阪だけ」と語る近畿経産局の米村猛局長は、「各機関の持つ国内外のネットワークの相乗効果を生みたい」と期待を寄せる。在阪8機関では「関西・共創の森」の旗印の下、技術面や事業化の課題を抱える地元中堅・中小企業や出資先を探るベンチャーキャピタルなどに共催イベントへの参加を促し、ニーズに応じて各機関を積極利用するよう呼びかける。今後も継続的な成果を生むには各機関が持つ地元企業などの情報を交換し、補助金や施設利用などの支援策を探る場が必要だ。このため事務方による定期的な会合の設置も検討している。

「裁量」持ち寄り支援に深みと広がりを
「関西・共創の森」を構成する8つの出先機関はそれぞれ国の行政組織の一部。その役割や機能は根拠法で定められている。その中にあっても、地元密着の視点から各機関がそれぞれに認められている「裁量」を持ち寄り、重ね合わせることで、中堅・中小支援策を深掘りし、奥行きを広げることが期待される。
参加8機関の一つ、製品評価技術基盤機構(NITE)は燃焼実験など国内有数の設備を擁するが、「利用は大企業がほとんど」と新井勝己参事官。共創の森を通じて「独自技術を追求する中堅・中小にも利用してほしい」と呼びかける。
工業所有権情報・研修館(INPIT)近畿統括本部では電機大手などで知財マネジメントの経験を持つ相談員が地元中堅・中小に助言している。「知財の面から支援の裾野を広げたい」と千葉慎二事業推進部長は話す。
日本貿易振興機構(ジェトロ)大阪本部は関西と海外市場・企業との連携サポートを担う。二宮康史産業連携・対日投資推進課長は「ジェトロの国内ネットワークを生かし、関西での協業を目指す企業も紹介したい」と意欲を見せる。
 各機関ではこれまで様々な取り組みを展開してきたが、「もっとできることがある」(産業技術総合研究所関西センターの角口勝彦所長)との思いも抱く。関西ならではの視点でそれぞれの役割と機能を発揮し、地元中堅・中小企業の飛躍の一助となることが求められる。(高佐知宏)

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