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「浪花節」気質生かして地域盛り上げ 児玉佳世子さん

関西のミカタ アルテリーヴォ和歌山GM

 こだま・かよこ 1964年、和歌山市生まれ。2007年のアルテリーヴォ和歌山発足にかかわり08年から職業能力開発の講師などをしながらゼネラルマネジャーを務める。12年からGM専任。同チームは15~16年に関西サッカーリーグ1部を連覇した。

■関西サッカーリーグ1部のアルテリーヴォ和歌山でゼネラルマネジャー(GM)を務める児玉佳世子さん(56)は、2007年のチーム立ち上げから関わってきた。「地元に熱狂的な愛着を持ち、情に厚い『浪花節』の関西人気質を生かすのが、地域を盛り上げる有力な手段」と話す。

阪神タイガースへの応援を見れば分かるように、スポーツで発揮される関西人の地元への思いは熱い。アルテリーヴォ和歌山のサポーターの応援も熱狂的だ。以前、福井県に遠征したとき「Jリーグの試合でもないのに、あれほど盛り上がるのは珍しい」と感心された。福井の人がわざわざアルテリーヴォの応援を見るために試合に来たほどだ。

20年はリーグ6位と成績が低迷した。サポーターから厳しく言われても仕方ないと覚悟していたが「応援できるチームが和歌山にあってよかった」「コロナ禍の中、遠征に連れて行ってくれて、ありがとう」と言ってくれた。「浪花節」という言葉があるように関西人は情に厚い。

■和歌山のJリーグチーム誕生をめざす活動に取り組む同級生に偶然会い、誘われてチーム設立に携わった。12年に専任になるまで、職業能力開発の講師などの仕事とGMを兼任した。

サッカーの経験はなかったが、Jリーグの試合を見て応援の楽しさを知り、観戦で全国を回っていた。GMになって以降、昼間は別の仕事をしながら夕方以降に無償でチームの業務をこなしたが「プライベートな時間に好きなことをしている」という感覚だった。苦に思ったことはない。

ゼロからのチームづくりで、銀行口座の開設やホームページの作成から始めた。GMという肩書だが、練習試合のセッティングまでする何でも屋だ。専用のグラウンドがないので、自治体の運動場を借りる手続きをするのも日課だった。サッカーの専門知識は乏しかったが、選手も協力してくれた。最初は県リーグにも参加できなかったが、11年には関西サッカーリーグ2部に昇格できた。

とんとん拍子に勝ちを重ねて2部で好成績を収め、12年からリーグ1部で戦った。さすがに1部は勝手が違い苦戦した。だから15年に初優勝したときは実感が湧かず、「本当に優勝するのか」とまるで人ごとのような感覚だった。

グラウンドでスタッフと練習の打ち合わせをする児玉さん㊧(和歌山市)

■チームは翌年も優勝したが、その後は優勝から遠ざかっている。20年は新型コロナウイルスの感染拡大で活動に大きな制約がかかった。

20年は監督が代わったほか、主力選手も大きく入れ替わった。だが新型コロナで思うように練習できず、新監督の考えがチームに十分浸透しなかった。その結果、1部の成績は6位だったが、21年はチーム運営が軌道に乗ると思うので巻き返したい。

GMをしていて一番うれしかったのは優勝したときだが、正確には優勝が決まった瞬間、サポーターが乱舞して喜ぶ姿を見たときだ。どの試合もゴールが決まったときに、私がカメラを向けるのはスタンドだ。サポーターが抱き合って喜ぶ姿に全てが報われる。人を笑わせて喜ぶ関西人は特に「お客さんを喜ばせたい」という気持ちが強いのかもしれない。

この関西人の気質は地域振興に役立つ。アルテリーヴォもこうした気質の人に助けられて、なんとかここまで来ることができた。チーム立ち上げ時には、選手に食事をさせてくれた人もいる。私がGM専任となった後に、スポンサーがいったん私を雇用し、社員としてアルテリーヴォに出向するという形でGMの報酬を負担してくれた。

私たちはモノづくりはできないが、コトづくりはできる。人を喜ばすスポーツの感動で地域を盛り上げたい。

(聞き手は細川博史)

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