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異例のJRA賞選定、高水準の20年シーズン象徴

ジャパンCで牡牝の三冠馬を破ったアーモンドアイが20年の年度代表馬に選ばれた=共同

2020年の中央競馬で活躍した人馬を表彰するJRA(日本中央競馬会)賞が6日、発表された。年度代表馬には史上初のGⅠ9勝の記録を達成したアーモンドアイ(牝6、すでに引退)が選ばれた。20年は牡牝ともに3歳三冠馬が誕生するなど、例年なら年度代表馬に選ばれるほどの活躍をした馬が多数出現。コントレイル(牡4、栗東・矢作芳人厩舎)が牡馬三冠馬として初めて、年度代表馬を逃した。近年にない高水準なシーズンを象徴するかのように、JRA賞の選定も異例なものとなった。

三冠馬、初めて年度代表馬逃す

JRA賞は前身を含めると、1954年から表彰が始まった。競走馬部門は記者投票で受賞馬を選定する。投票者は中央競馬の記者クラブに通算3年以上加入し、その年に年間を通じて中央競馬の取材をした一般紙やスポーツ紙、放送局の記者、アナウンサーのほか、競馬専門紙1社あたり5人の代表者。20年は283人が投票した。

JRA賞には部門賞があり、部門賞受賞馬のうち、その年の中央競馬を代表する馬を年度代表馬とする。部門賞は「最優秀3歳牡馬」「最優秀4歳以上牝馬」など、2、3、4歳以上の各世代の牡牝の最優秀馬のほか、短距離、ダート、障害の各カテゴリーの最優秀馬に贈られる。

20年は281票を獲得して最優秀4歳以上牝馬に選ばれたアーモンドアイが、年度代表馬の投票でも236票を集めた。44票だった2位コントレイルを大きく引き離した。両馬と無敗の牝馬三冠馬、デアリングタクト(牝4、栗東・杉山晴紀厩舎)がぶつかったジャパンカップ(GⅠ、東京芝2400㍍)でアーモンドアイが優勝したことが高く評価された。

この3頭以外にも20年は活躍馬が多かった。宝塚記念(GⅠ、阪神芝2200㍍)、有馬記念(同、中山芝2500㍍)の春秋グランプリを連覇したクロノジェネシス(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)や、安田記念(東京芝1600㍍)でアーモンドアイを破るなど、短距離のGⅠを3勝したグランアレグリア(牝5、美浦・藤沢和雄厩舎)も、例年なら年度代表馬を獲得できる活躍ぶりだった。

各部門賞でも例年なら受賞可能な水準だったにもかかわらず、表彰されなかった馬が多かった。ラッキーライラック(牝6、すでに引退)は牡馬相手に大阪杯(GⅠ、阪神芝2000㍍)を勝つなどGⅠを2勝。ダノンスマッシュ(牡6、栗東・安田隆行厩舎)は12月に香港に遠征し、レベルの高い現地の短距離馬を相手に香港スプリント(GⅠ、芝1200㍍)を勝った。

特にクロノジェネシスは年度代表馬級の活躍をしたにもかかわらず、最優秀4歳以上牝馬の投票でも1票も獲得できないほどだった。年間に10ある牡牝混合の古馬芝GⅠのうち、9競走で牝馬が優勝するという極めて珍しい1年だったためだ。同馬は記者投票の結果に基づいてJRA賞受賞馬を決定する、受賞馬選考委員会の推薦により、特別賞を受賞した。

「長距離部門」新設も一考の価値

投票権のある記者からは年度代表馬の投票で「思ったよりもコントレイルの票が少なかった」などの声も上がった。「直接対決の成績に重きを置く」考え方や、「年間を通じた、競馬界の盛り上げへの貢献度合いを重視」する観点、「獲得した賞金の額を参考にする」など、投票の根拠は人それぞれだ。

そうしたなかで聞かれたのが、2400㍍級以上のレースでの活躍馬を対象に選ぶ「最優秀長距離馬」のような部門賞があれば、投票しやすくなるという意見だった。

例えば、20年は天皇賞・春(GⅠ、京都芝3200㍍)を勝ったフィエールマン(牡6、すでに引退)が最優秀4歳以上牡馬を受賞したが、長距離部門の表彰があればフィエールマンをこちらで投票し、最優秀4歳以上牡馬にダノンスマッシュを選ぶという投票行動も可能になる。有馬記念を勝ったクロノジェネシスも長距離部門の表彰候補となり、部門賞を獲得できたかもしれない。

有馬記念を勝つなど年度代表馬級の活躍を見せたクロノジェネシスもJRA賞の部門賞を獲得できなかった=共同

近年では13年にも難しい投票を迫られたことがあった。この年はともに5歳牡馬のロードカナロア、オルフェーヴルの2頭が国内外で活躍。芝1200㍍の高松宮記念、スプリンターズステークスに加え、芝1600㍍の安田記念を勝ち、海外でも香港スプリントに優勝してGⅠ4勝としたロードカナロアが最優秀短距離馬と年度代表馬に選ばれた。

一方、オルフェーヴルはフランスに遠征して凱旋門賞(GⅠ)で2着に入り、帰国後、有馬記念では2着馬に8馬身差をつけて圧勝。最優秀4歳以上牡馬を受賞した。

ただ当時、「部門賞の受賞馬とはいえ、4歳以上の牡馬の中で〝最優秀〟に選ばれなかったロードカナロアが年度代表馬となるのは論理的におかしい。ロードカナロアを年度代表馬にするのであれば、最優秀4歳以上牡馬もロードカナロアとしなければいけないのでは」との意見が一部の記者にはあった。

だが、そのようにすると、当時、国内の中長距離路線で最強馬の座にいたオルフェーヴルを表彰できなくなってしまう。多くの記者はその懸念から最優秀短距離馬ではロードカナロア、最優秀4歳以上牡馬ではオルフェーヴルに票を投じた。もしも長距離部門があれば、オルフェーヴルをこの部門で表彰し、最優秀短距離、最優秀4歳以上牡馬をロードカナロアとして、年度代表馬をロードカナロアにするという選択も可能だった。

欧州など、海外では長距離部門の活躍馬を表彰する地域もある。日本国内でも以前と比べ、短距離、中距離、長距離の各路線ともスペシャリストが増える傾向にある。そうした観点からも、長距離部門賞の新設は一考の価値があるのかもしれない。

(関根慶太郎)

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