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佐渡裕、13年ぶり「メリー・ウィドウ」

文化の風

「メリー・ウィドウ」は甘いワルツに華やかなフレンチカンカンなど名曲ぞろいだ(2008年の初演、飯島 隆撮影)
兵庫県立芸術文化センター(西宮市)の夏の風物詩となって久しい佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。今年は16日から喜歌劇「メリー・ウィドウ」を上演する。佐渡にとって、2008年初演のメリー・ウィドウは「過去のプロデュースオペラで最も誇りに思える」という自信作。キャストや演出を改めた「改定新制作版」上演の意気込みを、佐渡に聞いた。

佐渡裕「関西ならでは、芸文ならではのオペラ」

佐渡が芸術監督を務める芸文センターは昨年開館15周年の節目を迎えた

――オーストリアのレハールが作曲した「メリー・ウィドウ」の音楽の魅力とは何か。

「甘いワルツに華やかなフレンチカンカン、エキゾチックな東欧の舞曲など、思わず口ずさみたくなる美しいメロディーが盛りだくさんだ。笑って感動して手拍子して、目いっぱい楽しんでほしい」

「配役はダブルキャスト。主役カップルのハンナとダニロには、若手のキャストとして高野百合絵さんと黒田祐貴くんを充てた。新鮮でスタイリッシュな印象だ。一方でベテランキャストには初演にも出演した並河寿美さんと大山大輔さん。『佐渡オペラ』には最多出場のコンビで、関西風でどこか身近なハンナとダニロになりそうだ」

――メリー・ウィドウの初演の思い出は。

「佐渡オペラ版『メリー・ウィドウ』は関西ならでは、芸文ならではの作品。銀橋(客席とオーケストラピットの間にもうけたエプロンステージ)やカーテンコール後のグランドフィナーレなど宝塚歌劇から取り入れた要素も多い。宝塚ファンをオペラの世界に、という思いがあった」

「08年当時は12回公演。最初は満員にならなかったが、見てくれた人が笑って泣いて、公演後に電話で一斉に『今年のオペラはすごい』と口コミで評判を伝えてくれ、日がたつにつれ客席がどんどん埋まった。東京でもなかなか考えられない回数をこなせたことで『やっていける』という手応えを持てた。メリー・ウィドウがきっかけでオペラに来てくれるようになった人もおり、以来演目選びでは人が死なない作品、または少しでも美しく死ぬ作品をと考えるようになった」

――佐渡オペラは人気を確立した印象だ。05年の開館初年以来、毎年1作ずつコンスタントに新作を発表し続けられたのはなぜか。

「素晴らしい歌手に照明や舞台衣装、機構など優れたスタッフがいて、さらに専属オーケストラと指揮者、素晴らしい演出家の先生がそろった。この劇場にこのスタッフがいて、このオーケストラがあり、一丸で取り組めたからこそ、充実したオペラを続けられた」

アドリブで世相反映、雰囲気一新

「メリー・ウィドウ」はオペラの一種であるオペレッタに分類されるコメディー作品だ。舞台は1900年ごろのパリ。主人公のハンナは、東欧の小国の富豪である夫の莫大な財産を相続した未亡人だ。ハンナが外国人と再婚すれば、財産は国外に流出し国は破綻してしまう。これを恐れたパリ駐在公使は、ハンナを昔の恋人のダニロと再婚させようと画策するのだが――。

13年ぶりの再演となる。昨年開館15周年を迎えたのを機に、歴史を振り返る意味も込めて、今年初めて再演に踏み切った。

初演には落語家や元タカラジェンヌが登場、指揮者の佐渡自身もカーテンコールで歌ったりステップを踏んだりと協力し、関西らしい何でもありのぜいたくな舞台を作り上げた。再演にあたり、時事を取り入れたアドリブを追加して雰囲気を一新する。アドリブが飛び出すのは狂言回しの役割を担う落語家の桂文枝の語りにおいてだ。「新型コロナウイルスや五輪、大リーグの大谷翔平選手など、今年の世相を反映したアドリブは、本番のお楽しみ要素だ」(演出家の広渡勲)

(山本紗世)

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