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令和の新風、個性際立つ(演芸評)

第6回上方落語若手噺家グランプリ

上方落語協会の笑福亭仁智会長(中央㊨)から表彰状を受け取る桂三四郎(同㊧)

落語家も試練が続いたこの一年。若手にとっては苦境を乗り越える希望の光になった「第6回上方落語若手噺家(はなしか)グランプリ」だ。「決勝戦」(19日・天満天神繁昌亭)には予選を勝ち抜いた9人が出場。各々(おのおの)が〝全集中〟の芸を披露し、発する熱量はハンパじゃない。そんな彼らに未知ののびしろと令和の新風をも感じるバトルになった。

際立ったのは個々の持ち味だ。優勝した桂三四郎は6回連続決勝進出のツワ者。源平合戦噺「扇の的」では現代語をバンバン盛り込み、的を射るのはハイリスクローリターン、仮病の理由はPCR検査で陽性、屋島合戦はグーグルで調べて、など自由すぎるギャグで爆笑を誘う。ほぼ創作と言え、突き抜けた軽快さと笑いの才で客をのせた。

準優勝の桂三実も文枝一門。自作「みんな京阪」をかけ独特の言葉遊びを笑いに結びつけた。関西弁は同じ音調の標準語で覚えればいいなんて驚きのアイデアに納得。「半年の命」は「アントニオ猪木」と同じイントネーション、など組み合わせの妙に創意が光った。

他の面々も健闘。特に桂華紋は息と間とフラで全編に滑稽味をにじませ、桂九ノ一は爽快な口調と人物に命を吹き込む描写でわかせた。共に古典の面白味(おもしろみ)を直球で届ける有望株だ。一方、パペット落語の笑福亭笑利は手作りの創造性とセンスで異彩を放った。

表彰式で笑福亭仁智会長が「みんなキレッキレ」と感心。どの演者もスピード感とギャグの瞬発力、リアルな演技力で質高い芸を見せた。コロナで8カ月順延し初登場が5人もいた今回、四天王の時代が遥(はる)か昔に思えるほど若い世代の新鮮で多様な可能性を感じた。どう伸びるのか。コロナ後が楽しみなことだ。

(演芸ジャーナリスト やまだ りよこ)

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