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望海風斗、圧巻の歌声(ミュージカル評)

宝塚雪組「fff―フォルティッシッシモ―~歓喜に歌え!~」

望海は苦境の中でも作曲に励むルートヴィヒを演じた

音楽史に名を刻む偉大な作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。彼の人生を題材にした新作ミュージカルが、宝塚歌劇団雪組による「fff―フォルティッシッシモ―~歓喜に歌え!~」(上田久美子作・演出)だ。名高い交響曲「英雄」「運命」などを盛り込みつつ、主人公の軌跡を描く。今作で退団するトップコンビの望海風斗と真彩希帆が、集大成と言える演技で役を活写している。

19世紀初頭、フランス革命後のヨーロッパ。主人公のルートヴィヒは孤独や聴力を失うといった不幸に見舞われながら、貴族ではなく民衆のための音楽を創り出していく。

同時代に生きたナポレオンとゲーテへの敬愛も描出し、現実世界と天界や概念の世界とを交錯させる内容。多様な要素が一つの流れとなり、「歓喜」の音楽を生む終盤へ緩急よく繋(つな)がる感がある。

苦境の中で創作に励むルートヴィヒの情熱や哀歓を、望海がエネルギッシュに体現。情感豊かな歌唱が際立ち、最後の場面での気迫に満ちた歌声は圧巻だ。主人公の影のような謎の女を真彩。抽象的な役柄をチャーミングに表し、存在感を醸し出した。2人が培った表現力を発揮して舞台を弾ませたのも印象深い。ナポレオン役の彩風咲奈は実在感が光った。

続く「シルクロード~盗賊と宝石~」(生田大和作・演出)は物語性のあるレビュー。盗賊の首領(望海)と呪われた宝石ホープ・ダイヤモンド(真彩)を巡り、多彩なシーンが展開される。望海がスリやインド神話のヴィシュヌ神、黒燕尾服(えんびふく)の紳士などに姿を変えて登場。艶やかな真彩と共に、全ての力を注ぎ込む様なステージを見せ、輝きを放った。宝塚大劇場で2月8日まで。

(演劇評論家 坂東亜矢子)

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