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中村壱太郎、南座で「三月花形歌舞伎」

文化の風

三月花形歌舞伎に出演する中村壱太郎(京都市東山区)

上方歌舞伎の気鋭の女形として活躍する中村壱太郎が3月6日から21日まで南座(京都市)の「三月花形歌舞伎」に出演する。尾上右近、中村米吉、中村橋之助ら同世代の若手たちと取り組む公演への意気込みのほか、新型コロナウイルス禍以降、積極的に行ってきた舞台外での発信に対する思いを聞いた。

――30歳以下の若手だけが集まる関西では珍しい歌舞伎公演になる。

「ただ歌舞伎をやるといっても、それだけでは劇場に足を運んでいただくのが難しい状況が続く中、30歳の自分が一番上というメンバーで『義経千本桜』に挑むことになった。コロナがなければこんなチャレンジの機会もなかったと思う」

「上方には同世代の歌舞伎俳優が少ない。自分たちの世代の上方歌舞伎を盛り上げるために今回のような公演を関西でやりたいと強く思っていたし、ずっと夢だった。その夢を一回で終わらせず、ぜひ今後もやっていきたい。そのためにはまず今回しっかりやりとげたい」

4人が義経競演

――「三月花形歌舞伎」では「義経千本桜」の「川連法眼館(かわつらほうげんやかた)」の義経役を右近、米吉、橋之助と4人が日替わりで演じる。

「それぞれが得意な出し物、持ち場をやるということも考えたが、せっかく若手4人でやるなら一丸となっているのを見せる演目にという思いが4人で共通していた。自分は父(中村鴈治郎)に習うが、四者四様の義経が見えてくるのではないか」

――松本幸四郎は壱太郎を「上方の匂いがある俳優」と評する。

「祖父(故・坂田藤十郎)に多くを学び、片岡秀太郎さんら上方の大先輩たちを間近で見て、叱咤(しった)激励していただきながら、年月をかけておのずと上方の匂いがついてくるのだと思う。少しでも自分の身についているのなら、それを出していけたらと思う」

舞台外でも発信

――自身のユーチューブチャンネルで歌舞伎の世界の裏側を解説したり、有料配信で新作舞踊も発表するなど、コロナ禍での新たな取り組みは伝統芸能の世界でも屈指の注目を集めた。

「こうした活動で直接芸がよくなるわけではない。それでも、一人でも多くのお客様を舞台に連れて帰ってくることができれば」

「『花形歌舞伎』を製作する松竹や他の3人とともに一緒に作り上げるんだという感覚も、昨年来自分で企画を形にしてきた経験の上にあるもの。舞台外での発信も劇場での公演が戻ってきたからやめるというものではなく、引き続きどちらも大事にしたい」

静御前を演じる中村壱太郎(2020年、大阪松竹座)(Ⓒ松竹)

二部制、配役入れ替え

「三月花形歌舞伎」は「義経千本桜」より「吉野山」と「川連法眼館」をA、B2つのプログラムで配役を入れ替えて交互上演する。義経を追いかける静御前が家来の忠信と吉野山を旅する舞踊劇「吉野山」はAプロで静御前を中村壱太郎、忠信を尾上右近が。Bプロでは中村米吉、中村橋之助がそれぞれ演じる。

「川連法眼館」は親子の情愛が軸となる物語。義経の元を家臣・忠信が訪ねると、そこに静御前ともう一人の忠信が現れる。静のお供をしていた忠信は実は親思いの子狐(ぎつね)で、静が持っていた鼓に親狐の皮が使われているため、鼓と静を守ろうと忠信の姿に化けていたことがわかる。

肉親の情にあふれる狐・忠信をAプロでは右近、Bプロでは橋之助が。そんな狐親子を見て兄・頼朝から命を狙われる自身の境遇に無情の思いを抱く義経をAプロでは米吉と橋之助が日替わりで、Bプロでは右近と壱太郎が日替わりで勤める。

(佐藤洋輔)

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