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演劇・音楽、自粛要請に公演中止か時短か

文化の風

日本テレマン協会は公演時間を前倒しする(昨年の第272回定期演奏会、大阪市中央公会堂)

大阪、兵庫、京都の3府県で新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令され、文化の現場も対応に追われている。劇団や楽団、ホールなどは終演時間の繰り上げなどで公演継続を模索するが、長引く影響で疲弊した現場では自粛要請に対する冷ややかな見方もある。一方、文化でも進む東京一極集中の弊害を指摘する声もある。

環境厳しく懐寒い

公演中止が相次いだ昨春の緊急事態宣言発令後に比べ、今回は目先の公演については自粛要請に対応しながら実施する事例が多い。国立文楽劇場(大阪市)で開催中の「初春文楽公演」の場合、午後6時開演の第3部の本編を5分ほど削る。これにより終演時間を20分繰り上げた午後8時とし、24日の千秋楽まで公演を続行する。

日本テレマン協会は、会場である大阪市中央公会堂の時短営業に伴い、21日の定期演奏会の開演時間を30分前倒しの午後6時に変更。ただ「間隔を空けて席を配置すれば250人収容できるホールだが、年明け以降集客は芳しくない。100人来場したらいいくらい」(同協会)。

昨年から厳しい公演環境が続き関係者の懐は寒い。政府や自治体の自粛要請に対しては冷ややかな見方もある。複数の音楽関係者から「集客率が5割を超えたチケットの販売を続けるかどうかの判断は主催者に委ねられている。収益面を考えれば、こっそりとチケットを売り続けるところも出てくるのではないか」といった声も聞かれた。

各地巡回できず

決行、中止の判断を下す要素は公演や団体によって千差万別だが、中止・延期が目立つのは各地を移動するツアー公演だ。アイホール(兵庫県伊丹市)で予定されていた木ノ下歌舞伎「義経千本桜」は「出演者・スタッフの多くが首都圏を拠点としており、現状では公演を行うのは難しい」(アイホール)。

ビルボードライブ大阪(大阪市)は、緊急事態宣言期間中の公演の8割が中止・延期となった。東京発の全国ツアー中止に加え、「今無理に公演してもキャンセルが多く集客が見込めない。春以降に日程を再調整したいというアーティスト側の判断だ」という。

一心寺シアター倶楽(大阪市)で公演中の南河内万歳一座「ゴミと罰」=谷古宇 正彦撮影

関西の劇団では南河内万歳一座が東京、北九州市での巡回公演を中止し、大阪公演のみとした。東京公演は緊急事態宣言発令後、「チケット販売が止まり、キャンセルの嵐。観客に望まれていない場所で強引に公演すると、社会と演劇の関係も壊してしまう」と座長の内藤裕敬。一方で、19日からの大阪公演は、緊急事態宣言後も新規の予約が入り続けたといい、「大阪で40年続けてきた蓄積もあって、観客が背中を押してくれる環境がある」(内藤)と感染防止策を講じた上で実施している。

主宰する劇団「青年団」の拠点を東京から兵庫県豊岡市に移した平田オリザは「東京で文化が止まると、全国が止まってしまう」と構造的な問題を指摘する。「現状、市中感染のリスクがほとんどない(豊岡市など)但馬地域では、我々の活動は止まっていない。地域ごとにバレエ団やオーケストラなどを育てていれば、東京や海外からアーティストを呼べなくても文化は止まらない。そうした状況をつくってこなかったツケが今表れている」。コロナ禍の影響が長引く中、地域と文化の関係を長期的な視野で捉え直す議論も必要になってきそうだ。

(佐藤洋輔、山本紗世)

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