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OSK日本歌劇団、ファンとの接点デジタル化

はたらく

チケット販売の状況などを制作担当者と確認する椿りょうさん㊨

中小規模の団体や個人での活動が主体で、まだまだアナログな作業も多い演劇の世界。来年設立100年を迎えるOSK日本歌劇団は公演管理などのデジタル化を進め、劇団員がパフォーマンスに集中できる環境を整えている。

成果の一つがチケット販売のデジタル化だ。昨年、劇団専用のチケットシステムを公開。劇団員がそれぞれ固有のログイン用IDを名刺やSNS(交流サイト)、ブログなどで周知し、ファンがそのIDを使ってチケットを購入すると劇団員の実績になる仕組みだ。

従来は、劇団員が手作業でファンに公演案内のチラシなどを郵送し、電話などで観劇日時を聞き取って入金の確認、チケット発送までしていた。チケット手配は1件につき数分から数十分、入団間もない劇団員でも公演ごとに100件はこなしたという。公演が迫る時期に数時間から数十時間の作業が発生し、本分であるはずの稽古時間を圧迫していた。現在は作業時間が4分の1程度まで圧縮され「コンディションの整った状態で稽古に集中できるようになった」と劇団員の椿りょうさん。

ただ、劇団員の負担となっていたチケット手配の作業がファンにとっては貴重な交流機会となっていた面もあり、効率化でファンとの接点が薄れることにもなりかねない。そこは「チケット手配の作業が減った分、SNS上での交流や公演案内とは別の形で手紙を出すなど、より深く交流する余裕もできてきた」(椿さん)。ファンにとっては劇団員のIDでチケットを購入することで「応援する劇団員に一票を投じるような参加感を味わってもらえている」(豊田崇克社長)面もあるようだ。

IT(情報技術)化が遅れていた演劇界で、OSKは2018年にITコンサルを手掛けるネクストウェア傘下入り。チケットシステムをはじめとするデジタル化を進めてきた。進捗をさらに加速させたのがコロナ禍だ。劇場公演が軒並み中止になったのを受けて昨年8月に大阪・心斎橋に無観客配信対応の専用劇場を新設。OSKファンは「シニア層も多く、コロナ禍以前はチケット販売もデジタルに移行してもらうのが難しかった」と豊田社長。チケット購入時の座席指定を可能にするなど観客の利便性を引き上げ、劇団員の働き方改革と両立させている。

(佐藤洋輔)

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