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古典踏まえ、驚きの独自演出光る(バレエ評)

メイシアター「白鳥の湖」全幕上演

3月21日、吹田市文化会館メイシアターで『白鳥の湖』全幕が上演された。監修は前新国立劇場舞踊芸術監督の大原永子、芸術監督は同劇場バレエ団元プリンシパルの山本隆之。同作品を何度も踊ってきた山本の演出・改訂振付は、古典の規範に沿いながらも独自性を持つ。通常、第3幕の舞踏会にしか姿を見せない悪魔の娘(黒鳥)を、第2幕から登場させた。 

黒みを帯びた赤い月明かりに覆われた湖は、悪魔親子が支配している。やがて王子が現れると舞台は清らかなブルーに染まり、彼はオデット(白鳥姫)と出会う。白鳥たちの群舞も美しく、ロマンティックなシーン。そこに突如、黒鳥が現れる。従来版にはない展開に驚いたが、舞台上の白鳥たちに動揺はなく、ただ強く忌み嫌う。悪魔とともに黒鳥がそこにいることは、なるほど不思議ではなく、白鳥たちはそれを知っているのだ。白鳥たちを演じたのは、オーディションで選ばれたダンサーたち。所属は異なっていながら統一感があり、山本の演出意図を際立たせていた。

主役は新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢唯と井澤駿。周囲にとけ込みつつも、スターの威厳を放っていたのはさすが。米沢は、繊細な動きと完璧な超絶技巧でドラマを語り、見るものを魅(ひ)きつけ続けた。黒鳥役の伊東葉奈はパワフルなジャンプで「悪魔の娘」を納得させた。

第3幕も巧みな照明効果とともに盛り上げた。第4幕では白鳥たちも悪に立ち向かい、王子とオデットの愛は成就する。素直な感動を呼ぶラストだった。北沙彩、吉田千智、佐々木夢奈ら関西の実力者が脇を固めたこの公演。吹田市制80周年・メイシアター開館35周年記念にふさわしく地域に根ざし、かつ水準の高い舞台に仕上がっていた。

(舞踊評論家 桜井多佳子)

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