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「おばちゃん」力、大阪企業に 広瀬恭子さん

関西のミカタ 大阪商工会議所副会頭

ひろせ・きょうこ 1959年兵庫県生まれ。82年に立命館大学大学院を修了し、広瀬製作所に入社。2001年から代表取締役社長。09年から日本縫製機械工業会副会長。20年6月から大阪商工会議所の女性会会長を務め、11月に副会頭に就任。

■工業用ミシン部品を手掛ける広瀬製作所(大阪市)社長の広瀬恭子さん(61)は11月、大阪商工会議所の副会頭に就任した。大商142年の歴史で初の女性副会頭は、就任会見で「女性としての新しい視点から意見を述べたい」と抱負を語った。

大阪はもともと女性の就業率が低い地域だ。大商が2019年に実施したアンケート調査では、女性管理職のいる中小企業は41%と半数にも満たない。一方でエネルギーにあふれる大阪の「おばちゃん」は地域のコミュニティーを支える役割を果たしてきた。このエネルギーを企業活動に取り込まない手はない。

多様な視点を取り入れることは議論の活性化につながる。消費者の半分は女性で、商品開発や販路開拓にその視点を取り込むことは有効だ。女性だけでなく、企業にとってもよい影響がある。

大商ではこの5年間、企業などで活躍する女性を「大阪サクヤヒメ」として表彰する取り組みを続けてきた。女性同士のネットワークの構築も進んでおり、これから活躍したいと考える若い世代への支援につなげたい。長い間続いた組織のあり方や「こうあるべきだ」という意識の変革が必要だ。多様なロールモデルを発信するお手伝いをしていきたい。

ベトナムでの工場操業20周年記念パーティー。従業員とのコミュニケーションを大切にしている

■2001年に広瀬製作所の前社長だった夫の死去に伴い社長に就任。工業用ミシンの「かま」と呼ばれる部品を手掛け、中国とベトナムに拠点を持つ同社を20年にわたって率いる。

社長に就任したころは、夫を亡くしたショックと2人の子供を育てながら仕事をする忙しさで、大変だと思う余裕がなかった。景気が悪いタイミングだったこともあり、従業員や家族ぐるみでお付き合いのあった取引先の方に親切にしていただいた。

経営には不慣れだったが、アートコーポレーションの寺田千代乃さんの「任せることと放っておくことは違う」という言葉を紙面で読み大変感銘を受けた。コミュニケーションを大切にして、ビデオ通話サービスしか手段がなかった10年前から、拠点のある大阪、高知、ベトナム、中国を結んで話をする時間を毎週設けている。

大商の女性会の皆さんにも多くの助言をいただいた。女性会には様々な世代のエネルギーにあふれた方が多く、私にとって「パワースポット」のような存在だ。率直に意見を言い合える仲間がいることは心強い。

■大阪には幅広い業種の中小企業が集積する。ものづくりの優れた実力を持つ一方、人手不足や後継者難など共通の課題も多い。

高い技術を持つ企業やサプライチェーン(供給網)を支える企業が大阪には数多く存在する。近隣府県への交通の便もよく、関西一帯で大きな経済圏を形成している。東京に比べて住環境にも恵まれ、企業が進出するうえで必要なインフラが整う。文化的な側面を含めて、アジアとのつながりも深い。大きな可能性を秘めた地域といえる。

ただ将来を見据えると、中小企業の多くは人材不足やデジタル化、事業承継といった課題を共通して抱えている。中小企業の経営者には親から会社を引き継ぎ、子供にバトンを渡すという「会社が人生そのもの」という方も多い。中小ならではの気持ちに寄り添った支援を目指す。

景気には10年に一度大きなうねりがあり、新型コロナウイルス禍の今がまさにその時だ。25年には国際博覧会(大阪・関西万博)が控え、夢洲(ゆめしま)や「うめきた2期」地区での実証実験が始まる。未来に向けた技術開発に中小企業にも参加してもらえるよう、大商としても積極的に後押ししていきたい。(聞き手は斎藤さやか)

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