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宝塚歌劇のスペシャリスト集団 専科に輝き

文化の風

「はいからさんが通る」で伊集院伯爵を好演した英真なおき㊧と伊集院伯爵夫人の美穂圭子 (C)宝塚歌劇団

宝塚歌劇団のスペシャリスト集団、専科の活躍が目立っている。英真なおきが花組公演「はいからさんが通る」で伊集院伯爵を好演し、松本悠里は月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA―雪と月と花と―」で日本舞踊を可憐(かれん)に舞った。宝塚では花組、雪組など5組のトップスターと娘役トップがスポットライトを浴びるが、舞台に厚みをもたらす専科も輝きを放っている。

7~11月に宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)と東京宝塚劇場(東京・千代田)で行われた「はいからさんが通る」。伊集院忍少尉役のトップスター柚香光と、おてんば娘の花村紅緒役を務めた娘役トップ華優希の息の合った演技で幕を閉じた。舞台を支えた一人として忘れてならないのが忍の祖父、伊集院伯爵役を熱演した専科の英真なおきだ。

「2人はきっと幸せになる。思いはきっと届くのじゃ」。11月15日、東京宝塚劇場での千秋楽。伯爵役の英真の太く低くよく通る声が場内に響いた。「花組から大事な役をいただいたわけだから、その分しっかり舞台を務める責任と使命がある」と英真。「『はいからさん』はラブコメディーだが明治の御一新後の日本の歴史を踏まえた作品。元薩摩藩士の伯爵は旗本の家系の紅緒と相いれない。時代に翻弄される人間関係を考えつつ演じた」と話す。

圧倒的な存在感

「はいからさん」ではほかに伊集院伯爵夫人役で美穂圭子が活躍。2019年には轟悠がコメディー「パパ・アイ・ラブ・ユー」で圧倒的な存在感を示した。9月~来年1月の「WELCOME」では松本悠里が得意の日本舞踊を披露し、10月には凪七瑠海が「パッション・ダムール―愛の夢―」で男役8変化に挑んだ。英真は来年の星組公演「ロミオとジュリエット」のロレンス神父役も務める。

英語名はSuperior membersで上級劇団員の意。元トップスター、踊りの名手、歌姫らがそろう。演出家は大事な役で適任者がいなければ専科に出演を依頼する。演劇評論家の坂東亜矢子氏は「心の葛藤の表現や大事な老け役にベテランの経験は欠かせない。キャラクターを強め、ドラマを深める重要なポジション」と解説する。

コンサート「パッション・ダムール―愛の夢―」で熱唱する凪七瑠海(10月、兵庫県宝塚市の宝塚バウホール)

創設は1920年代後半。声楽専科、舞踊専科などができ、50年代は映画専科の扇千景や八千草薫が活躍した。その後も元トップスター鳳蘭や榛名由梨、元娘役トップの上原まり、檀れいなどが在籍している。2000年に2・3番手を配属する新専科も試行した。

活躍は舞台にとどまらない。若手を指導し組織の活性化にも寄与する。「稽古場では生徒の性格を見極め、的確な助言や提言をするように心がける。同じ組以外の人との稽古は若手の刺激になるだろうし私も新鮮」(英真)という。理事の英真は現場の声を理事会で代弁する役割も果たす。

全体の魅力を再確認

20年4月時点のメンバーは14人と15年前に比べて10人も少ない。しかも華形ひかるが9月、星蘭ひとみが11月に劇団を去り、松本悠里も来年1月3日付で退団する。9月に星組の万里柚美、来年2月22日付で宙組の星風まどかが加わるが陣容は十分とはいえない。

専科を次代にどう引き継ぐか。「星蘭ひとみの専科への異動は映像中心に出演するためだった。今後は若い人材を得意分野に挑戦させていく可能性も」というのは「寝ても醒(さ)めてもタカラヅカ!!」の著書があるイラストレーターの牧彩子氏だ。「専科は組に分かれた宝塚の視野を広げ、宝塚全体の魅力を再確認させてくれる。今後も魅力を発信してほしい」。専科の進化に注目したい。(浜部貴司)

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