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大阪「もずやん」スターへの道は? 改名・整形の曲折

とことん調査隊

大阪府知事のそばで、いつもけなげに働くキャラクターが気になる。大阪府公認のご当地キャラクター「もずやん」だ。イベント出演回数は年間400回を超えるというが、全国的な知名度はいまひとつ。ご当地キャラにはわりと詳しいと自認する記者(28)も大阪に赴任するまで全く知らなかった。熊本県の「くまモン」のようなスターになれる日は来るのか。可能性を探ってみた。

もずやんとは何者なのか。好きな食べ物は「たこ焼き」、特技は「四もず熟語、スポーツ」、将来の夢は「いつかオオタカになりたい」。プロフィルはこてこてに盛っているが、モチーフにしているのは大阪府の府鳥モズだという。いたって平凡だ。

実はもずやん、ご当地キャラとしては古株だ。大阪府で開催された「なみはや国体」(1997年)の公式マスコットとして93年に誕生。当時の名前は「モッピー」で、見た目は今より黒っぽく体つきもスリムだった。「くまモン」や「ふなっしー」(千葉県船橋市)の登場でゆるキャラブームが盛り上がる20年近くも前のことだ。

ブームの走りは2007年、彦根城築城400年祭に登場した「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)だ。丸々とかわいらしいフォルムが人気を集め、大阪府でも新たなキャラが続々と誕生した。だが、精悍(せいかん)な風貌のモッピーは流れに乗れず、後輩たちの活躍を横目に埋もれた。

転機が訪れたのは14年だ。「行政の無駄をなくす」と訴える大阪維新の会は、90以上もの府公認キャラが乱立する状況にもメスを入れた。「広報チラシに使うキャラを各部署がそれぞれ作った結果、増えすぎてしまった」(大阪府)と大半を「リストラ」し、公認キャラをモッピーに一本化する方針が示された。

ただ、モッピーが生き残った理由は判然としない。大阪マラソンなどが盛り上がり、スポーツツーリズムによる地域振興に可能性を見いだした結果、最古参でアスリート的キャラのモッピーを選んだというのが公式見解。だが、どうもふに落ちない。

というのも、モッピーは直後に「もずやん」への改名や〝美容整形〟などの出直し的な改革を迫られているからだ。改名の理由は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の同名キャラが商標登録をしていたため。改名ついでに、流行の丸々としたフォルムも手に入れたが、かつての面影を探すのは難しくなった。

「(全国的に人気の)『くまモン』を目指すように」。当時の松井一郎府知事(現大阪市長)はこう発破をかけ、もずやんを「広報担当副知事」に任命した。ただ「活動費は自分で稼ぐように」と厳しい。もずやんグッズの販売権を最低価格44万円で売り出したが、応募はゼロ。大阪・関西万博の招致が決まったひのき舞台、18年の博覧会国際事務局総会(パリ)には出張費が足りず行けなかった。

年間のイベント出席400回以上、名刺配布2万枚以上の「営業ノルマ」をこなしたが、大阪府民の認知度は約60%(19年度時点)。スターどころか行く末も心配だ。

もずやんの将来を案じ、「ひこにゃん」をプロデュースしたTMオフィス(大阪市)の殿村美樹社長に相談してみた。「ご当地キャラがいると子どもが集まりやすい。タレントを呼ぶ集客策などより実はコストがかからない」と殿村社長。さらに「皆が『くまモン』になる必要はない。地元で愛されればいい」と温かい言葉をもらった。

そういえば、イベント会場で動き回るもずやんは空回り気味だが、どこかほっとけない愛らしさが漂う。締め切りに追われる記者も、実はその姿に癒やされていた。スターになれなくてもいい。頑張れ、もずやん!(渡辺夏奈)

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