元看護助手、国賠提訴 再審無罪で4300万円請求
滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年にあった患者死亡を巡り県警に逮捕され、殺人罪で懲役12年の判決を受け服役後、再審無罪が確定した元看護助手、西山美香さん(40)が25日、国家賠償法に基づき、国と県に計約4300万円の損害賠償を求め大津地裁に提訴した。
訴状などによると、県警は軽度の知的障害がある西山さんの特性や恋愛感情を利用して虚偽の自白を誘導した他、患者が「たん詰まり」で死亡した可能性を示唆する文書を開示しないなど捜査に違法性があったと主張。また検察側も県警の不当捜査を見過ごし起訴した上、17年の大阪高裁の再審開始決定に対し理由なく特別抗告したことも違法だとしている。
請求額は、西山さんが逮捕以降に受けた精神的、経済的損害などを算定した計約1億300万円から、10月に大津地裁が支払いを決定した刑事補償金約5997万円を差し引いた金額とした。
西山さんは記者会見で「裁判所で(捜査の違法性など)いろいろなことを明らかにしたい。冤罪に苦しむ皆さんと一緒に闘っていきたい」と話した。
西山さんは04年7月に逮捕され、07年に懲役12年の判決が確定。その後再審開始が決定し、大津地裁は今年3月、事件性を認める証拠はないとして再審無罪判決を言い渡した。〔共同〕