関電の金品受領問題、八木前会長ら任意聴取 大阪地検

関西電力の金品受領や役員報酬補塡の問題で、大阪地検特捜部が八木誠前会長ら旧経営陣から任意で事情を聴いたことが18日、関係者への取材で分かった。特捜部は会社法違反容疑(収賄、特別背任)などの告発状を受理して捜査を進めており、聴取結果を踏まえて刑事責任の有無を慎重に検討し、早ければ3月中にも判断するとみられる。
市民団体が告発していたのは、関電の八木氏や岩根茂樹前社長、森詳介元会長、豊松秀己元副社長ら元幹部9人。特捜部は旧経営陣に一連の問題の説明を求め、旧経営陣側は違法性の認識を否定したとみられる。
告発状によると、八木氏ら7人は多額の金品を提供した福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(死去)が関係する4社に事前の情報提供や不適正な金額で工事を発注し、関電に損害を与えた特別背任などの疑いがある。
森山氏からの金品受領問題を調べた第三者委員会の調査では、東日本大震災後の赤字で減額した役員報酬の補塡問題も新たに判明した。告発状では八木氏や森氏ら3人が適正な手続きを経ず、退任した役員ら18人に計2億5900万円を支払い、関電に損害を与えた会社法違反(特別背任)の疑いがあるとしている。
補塡問題で特別背任罪を適用するには、主導したとされる森氏らに自己や第三者の利益を図る目的や、関電に損害を与える意図があったと立証しなければならない。旧経営陣側は補塡を「実質的な委嘱業務の対価だった」などと主張しており、特捜部は対価だったかどうかを慎重に検討しているとみられる。金品受領問題は関与した元助役が死亡し供述などが得られず、立件のハードルは高いとの見方がある。
特捜部は関電側の資料を分析し、同社社員からも事情を聴くなどして、金品受領や補塡を決めた経緯など関電の意思決定のプロセスなどの解明を進めている。
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